2016年8月14日日曜日

Ce que le jour doit à la nuit

アレクサンドル・アルカディー監督と言えば、

Grand Pardon Ⅰ, Ⅱ
L'Union sacrée

などが強く印象に残っています。

http://tomo-524.blogspot.jp/2013/09/lunion-sacree.html

で、今日は、
彼の「最高傑作」(Paris Match の評)とされる、

Ce que le jour doit à la nuit 

を見てみました。160分という長尺です。



これは、感動しました。
大河ドラマというか、叙事詩というか、
大きな歴史のうねりを背景にしながら、
ほとんど天上的な愛を描き、
そんな愛がそれほど不自然に見えないという、
かなりの離れ業を達成していると感じました。

舞台の99%はアルジェリアです。
(オラン及びその近くの町。そしてアルジェ。)
時代的には、
1939年のアルジェリアから始まり、
戦争を経て、
戦後、そしてアルジェリア戦争、戦争終結、
そして一瞬1970年を挟んで、終わりは2010年。

主人公は、1930年頃に生まれたはずの男の子。
彼はユネスというアラブ名を持つアラブ人。
(ただし、ベルベル系のなのでしょう、青い目と白い肌です。)
でも、彼の一家がワルの企みにはまり、
彼は、薬局を営む叔父のもとに預けられ、
そこで成人することになります。
彼はとても愛されますが、そこでは、名前を、
ジョナスと変え、アラブ性を隠すことを強いられます。
(友達はみな知っていますが。)
そうした彼が、ユダヤ人の女性と恋に落ちます……。

俳優も充実していて、
ユネスの叔父が、『ムッシュ・ラザール』のモハメッド・フェラグ。
そのフランス人妻(カトリック)に、
La première étoile のアンヌ・コンシニ。
ユネスの恋人の母親が、『ニキータ』のアンヌ・パリロー。
友人の父親に、ヴァンサン・ペレーズ。
そして恋人役は、
エジプト系ユダヤ人を父に持つノラ・アルネゼデール。
ユネスはと言えば、
ベルベル系モロッコ人の父とフランス人の母を持つ
Fu'ad Aït Aattou です。

こういう映画が日本で公開されないのは、

また、同じヤスミナ・カドラ(←女性名ですが、本人は男性)の小説の映画化としては、
これがあります。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/09/lattentatkamikaze.html

これも『テロル』という邦題で、訳されています。