2016年8月17日水曜日

30° Couleur

La Première Étoile という、おもしろい映画がありました。

http://tomo-524.blogspot.jp/2015/07/la-premiere-etoile.html

その監督&主演だったLucien Jean-Baptiste が、
その次に撮った映画、

30° Couleur

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=w3NNziyYqFY

https://www.youtube.com/watch?v=Q_iu4jp-WUs ←全編版

マルチニック出身で、
今はパリで歴史学者として成功しているパトリック。
(とはいえ、少し微妙なところも。
彼は最近賞を取ったのですが、ある会食に席で、
「黒人がこういう賞を取ったっていうのは、画期的よね」
「そうさ、フランスは、ダイヴァーシティーを重んじているからね」
などと言われてしまいます。
彼はそこで、
「私が賞を取ったのは、政府の方針じゃなく、
わたしの業績だけがその理由ですよ」
を言わずにはいられません。)
彼は(おそらく)離婚していますが、
元妻とも良好な関係。
一人娘はブルジョワ的な小学校に通っています。
住んでいるのは、デファンスの、Euler Hermès です。

こんな多忙なパトリックのところに、
マルチニックにいる妹から電話があります、
母が死にそうだ、すぐ帰れ、
と言うのです。
もうヴァカンスの予約もしてあるし、
最初はいやそうな彼でしたが、
仕方なく、娘と一緒に帰ることに。
なんと、30年ぶりです。
(ちなみに彼は、パリの友人たちには、
両親は死んだ、俺はパリ生まれだ、と言っています。
彼がパリに来たのは、本当は11歳の時です。)

マルチニックに帰ってみると、
それはちょうどカーニヴァルの時期でした。
旧友や家族たちは、30年ぶりの彼を大歓迎しますが、
ヨーロッてき価値観、ヨーロッパ的時間感覚を生きる彼には、
まったく煩わしいだけ。
そして翌朝、ママは亡くなってしまう
(遺言は、「パリに埋葬して」です)
のですが、
なんとその翌日、ママの遺体が行方不明に!
カーニヴァルの大騒ぎの中、大捜索が始まります……

もちろん結論としては、
パトリックはこの土地と、人々と和解します。
自分の「根っこ」に愛情を持てるようになるのです。
自分ひとり、パリに無理やり送られた、
と思っていたのですが、
その陰で、彼に教育を受け続けさせるために、
どれだけ家族が苦労してきたか、
やっと理解するのです。
家族など、お金を送るだけで、完全に無視してきたのですが。
そういうお話です。
とてもにぎやかで、マルチニックの雰囲気が伝わる映画でした。

出演俳優たちは、
きっちりカリブ系で揃えてあります。
La Première Étoile では、主人公の娘として、
とてもいい役を演じていた女の子が、
再び彼の娘役を。
そしておなじみÉdouard Montoute
(エドゥアール・モントゥートゥだと思いますが、
日本ではなぜか「エドゥアルド・モントート」と表記。)

Lucien Jean-Baptiste の第3作、
Dieumerci !
のDVDも発売されました。
これも見たいです。