<古典>第13弾は、
『現金に手を出すな』(1954)
https://www.youtube.com/watch?v=1wGE4QVFsos
です。
これはジャック・ベッケル作品の中でも、
とりわけ有名なものですね。
(おもしろいのは、この作品、
『ゴジラ』第1作と同じ年の公開であること。)
有名作ですが、その理由の第一は、
ジャン・ギャバンがこのフィルムによって、
スターダムに帰ってきたことなのでしょう。
戦前、労働者を演じてスターになった彼は、
戦中、アメリカに避難し、
戦後、フランスに戻り、いくつかの作品に出ましたが、
それらはヒットに至らず、彼の人気も復活しませんでした。
が、
このフィルムにおける、「嘘つきマックス」の役は当たり、
その後のジャン・ギャバンの役柄に、
決定的な影響を与えたわけです。
(この映画は、フランス映画史全体にも、
大きな影響を与えたとされています。)
それにしても、
誠実で、頼れる労働者を演じていたスター役者が、
時を経て、というか、
観客が実質的な敗戦を経験した後で、
「嘘つき」なギャングを演じて復活するというのは……
観客が求めるものが変化した、
と言ってしまえばそれまでですが、
落差が大きいですね。
(やはり敗戦と、その後の世の中のあり方が……)
この映画のジャン・ギャバン、
めちゃめちゃ貫禄あるんですが、
彼は1904年生まれですから、
この時点で、なんとまだ50歳!
驚きです。
ジャンヌ・モロー、リノ・ヴァンチュラも出ています。