2016年9月7日水曜日

『悲恋』

<古典>第8弾は、

『悲恋』(1943)

です。
(原題はL'Éternel Retour 「永劫回帰」。
フランスがドイツに占領されていた、
いわゆる「占領下」に作られた映画です。
ジャン・コクトー&ジャン・マレーで、
元になっているのは「トリスタンとイゾルデ」。
つまり、ドイツ文学ですね。

https://www.youtube.com/watch?v=UFvMOjR5umQ

この映画は、
フランスが、
自分が占領下にあることを忘れるために、
そうした事実から逃避するために作られたものであり、
内容的にも「ドイツかぶれ」であり、
ジャン・マレーは、
「フランスのドイツ熱を体現した人物」
なのだという指摘もあります。
当時は、金髪であればあるほど、
アーリア人種の純粋性が保たれているという幻想が通用しており、
ジャン・マレーもヒロインも、
同じプラチナ・ブロンドに髪を染めていたようです。

ただし、美しきジャン・マレーは、
ジャン・ギャバンが『獣人』や『陽は昇る』で「死んだ」後、
あらたなフランスを代表する男優になります。
ただその期間は、
あまり長くは続かなかったのですが。