2016年9月9日金曜日

Le Prénom

ヴァレリー・ベンギギが47歳という若さで亡くなってから、
ちょうど3年経ちます。
彼女がセザールで助演女優賞を取った

Le Prénom (2012)

を見てみました。
(彼女には、もっと活躍してほしかった……。)

https://www.youtube.com/watch?v=FX2ukwKgWlo

この映画は、
2012年の興行成績第3位で、
当時は「話題の映画」でした。
実はわたしも、
ずいぶん前にDVDを買ったのですが、不良品だったのか、
どうしても再生できませんでした。
でも、やっぱり見たいので、新たにアマゾンに注文し直したところ、
今度はちゃんと再生できるものが送られてきました。
(幸い、7.15€ と安い。)

もとが舞台なので、
会話が濃くて、
理解するのにてこずりましたが、
でも面白いので、
最後まで楽しく見られました。

主要な登場人物は5人。
まずは、バブーとヴァンサンの姉弟。
姉は中学校の先生、弟は不動産仲介業です。
そしてそれぞれの夫と妻が、ピエールとアンナ。
ピエールは大学教員で、ヴァンサンの親友。
アンナはファッション業界で働いでいて、今妊娠5か月。
最後の一人は、姉弟とは30年以上の仲である、クロード。
彼はラジオ・フランス・オーケストラの、
首席トロンボニストです。

約100分の映画の95%は、
バブーとピエールの家での、
会食の場面です。
(もともと舞台ですからね。)
フランスらしい、とも言えるかもしれません。
で、
会話が進む中で、
それぞれが胸の奥にしまっていたはずのもろもろが、
すごい勢いで噴出してくるのですが、
そのきっかけになるのが、
タイトルの「ファーストネーム」です。
生まれてくる子供のそれを訊かれたヴァンサンが答えたのは、
なんと、○○○○でした。
これって、世界史上でも屈指の悪名高き……

物語の中で明示的に示されはしませんが、
姉弟を演じるヴァレリー・ベンギギとパトリック・ブリュエルは、
ともに、有名なユダヤ人俳優で、
姉弟の母親であるフランソワーズは、
友人のローゼンタール一家と仲良しです。
(これって、『大いなる幻影』にも、
『ゲームの規則』にも登場した名前ですね!)
姉弟はユダヤ系だと思って、
ほぼ間違いないでしょう。

余計なことを1つ。
訪ねてきたヴァンサンが、
玄関のコードがわからないと電話してくる場面があります。
ピエールは、
じゃあヒントを、
と言って、まず、

Marignan

と言います。
これは「マリニャーノの戦い」なので、1515。フランソワ1世の時代ですね。

そして続いて、

Austerlitz

これは「アウステルリッツの戦い」なので、1805。
(ただヴァンサンはこれを、
メトロの駅名と勘違いするんですが。)

これって、日本でいえば、
1905的なんでしょうが、
それならイマイチですね。