2021年5月5日水曜日

『15ミニッツ・ウォー』

アマプラにあったフランス映画、

『15ミニッツ・ウォー』(2019)

を見てみました。
この映画は、
1976年のジブチ、
つまりフランスの最後の植民地だったジブチを舞台に、
実際にあった人質事件を題材としているそうです。


ある日、
学校へ向かう小学生たちの乗ったスクール・バスが、
ジブチ独立派によって乗っ取られます。
彼らは、ジブチの独立と、
政治犯の釈放を要求し、
バスをソマリアとの国境地点に移動させます。
呼び寄せられたのは、
GIGN でした。
これが海外での初任務だったようです。
で、
ここに、小学生たちの女性教諭、
外人部隊、
ソマリア軍、
などが絡み、
一触即発の時間が過ぎてゆき……
というお話。

これ、なぜ見たかといえば、
まずは主役がアルバン・ルノワールであること、
そして女性教諭を、
オルガ・キュリレンコが演じてること、
に尽きます。
前者は、たまたまつい最近もここで言及した、これ、

の印象一番強くて、
後者は、わたしにとっては、ボンド・ガールなどより、
『パリ、ジュテーム』でのヴァンパイヤ役、
そして最近の、これ、

が真っ先に思い出されます。
二人とも、悪くなかったし、
特に後者は、(まあ役自体もいいんですが)
好感が持てました。

で、肝心の映画そのものですが、
これはちょっとピントがずれてる感じ。
まず、この事件を「テロ」と決めつけているんですが、
まあその当否はともかく、
根本にあるのは、フランスの植民地主義なわけです。
その点は、映画ではまったく無視されています。
たしかに、GIGN の献身的な活躍を通して、
フランス政府の官僚主義を批判的に描いてはいますが、
それは、なんというか、浅い。
あくまで、善なるフランス、という枠組みの中でしか、
物を見ていないと言えるでしょう。

フランスは、
自らの植民主義について、
いままでに一度も謝罪したことがありません。
その事実が思い出されます。