で、
1つ印象に残ったことを書いておこうと思ったのですが、
それは、パリの地名についてです。
ジャン・ギャバン扮するペペが、
金持ちの男性の愛人らしき美女、ギャビーと初めて会い、
意気投合する場面。
そこで二人は、ともにパリを(「望郷」らしく)懐かしみ、
互いに、次々にパリの地名を挙げていくのですが、
ギャビーが挙げたのは、
シャンゼリゼ、
オペラ、
キュプシーヌ大通り、
モンマルトル通り、
フォンテーヌ通り。
一方ペペが挙げたのは、
サン・マルタン、
北駅、
バルベス、
ラ・シャペル、
ロシュシュアール大通り、
なのです。
この違い、かなりはっきりしてます。
言ってみれば、お金持ちの、遊興的なパリと、
移民と労働者のパリです。
そして、この列挙の締めくくりには、
二人が同時に同じ地名を口にします、それは、
ブランシュ広場、
でした。
このムーラン・ルージュの真正面の広場は、
たしかに、
二人の世界が交わる場所になっています。
それにしても、これらの場所の持つ記号性は、
1930年代も現代も、
ほとんど変わっていないんですね。
ちょっと新鮮でした。