『ライブ』
を見終わりました。
結論から言うなら、
これはなかなかよかったです。
新人警察官たちとその先輩、上司たちを巡る物語なのですが、
彼らは、さまざまな事件が起きるまさに現場、最前線にいるのに、
「国家」にも、
「組織」にも、
守られていない。
さらにいえば、
彼らの全員が「使命感」で動いているわけでもない。
にもかかわらず、
彼らの行動には、もうこうするしかない、
というギリギリのナニカがあります。
(このナニカを「人間」らしさだと言えば、
それはあまりに薄っぺらくなってしまいますが。)
こうした描き方、物語の構造は、
「国家」の「暴力装置」としての警察、
というのとは違っていて、
共感できました。
(まあ、ここで「共感」してしまうということは、
筋金入りのアナーキストにはなれないということなのでしょう、
幸か不幸か。)
地方大学出身で、
なかなか就職が上手くいかないジョンオは、
合同説明会でのセクハラ質問に怒って席を立ったあと、
たまたま見かけた「警察官募集」のポスターによって、
人生の方向を一気に変えてゆきます。
また、正社員を夢見て仕事に励むサンスは、
ある日、自分が勤めていた会社が、
詐欺を働いた上夜逃げしたことを知ります。
そして彼もまた、あのポスターを見かけるのです。
二人は、それぞれの道をたどって、
猛勉のおかげで警察学校に入学、
さらに試補として分署に配属されます。
(この「分署」とういうのが、
つまり「最前線」なわけです。
それは本署でも、警視庁でもありません。)
さて、
分署についてみると、そこには、
ちょっと上の先輩たち、
上司たち、
その上の管理職たち、
が待ち受けていました。
ただ彼らもそれぞれに、
個人的な問題を抱えているのです。
そしてそんな分署に、
昼夜、事件は押し寄せてくるのです……
物語の中盤、
同じタイプの事件が集中的に起きます。
それは性犯罪なので、
物語的にはややモタレルのですが、
ドラマのモチーフ自体とも関わるので、
仕方ないのかもしれません。
その点以外は、
前半も後半もよかったです。
若い試補たちだけに焦点を当てるのではなく、
複数の世代が抱える様々な問題を展開させたおかげで、
物語に深みが出て、多層的になりました。
成功のポイントだったでしょう。
見終わってしまったのがちょっと残念だと感じますから、
「わたし」は見たがっていたんでしょう。
おもしろかったです。