2021年5月4日火曜日

『ライブ』

韓国ドラマ、

『ライブ』

を見終わりました。


結論から言うなら、
これはなかなかよかったです。
新人警察官たちとその先輩、上司たちを巡る物語なのですが、
彼らは、さまざまな事件が起きるまさに現場、最前線にいるのに、
「国家」にも、
「組織」にも、
守られていない。
さらにいえば、
彼らの全員が「使命感」で動いているわけでもない。
にもかかわらず、
彼らの行動には、もうこうするしかない、
というギリギリのナニカがあります。
(このナニカを「人間」らしさだと言えば、
それはあまりに薄っぺらくなってしまいますが。)
こうした描き方、物語の構造は、
「国家」の「暴力装置」としての警察、
というのとは違っていて、
共感できました。
(まあ、ここで「共感」してしまうということは、
筋金入りのアナーキストにはなれないということなのでしょう、
幸か不幸か。)

地方大学出身で、
なかなか就職が上手くいかないジョンオは、
合同説明会でのセクハラ質問に怒って席を立ったあと、
たまたま見かけた「警察官募集」のポスターによって、
人生の方向を一気に変えてゆきます。
また、正社員を夢見て仕事に励むサンスは、
ある日、自分が勤めていた会社が、
詐欺を働いた上夜逃げしたことを知ります。
そして彼もまた、あのポスターを見かけるのです。
二人は、それぞれの道をたどって、
猛勉のおかげで警察学校に入学、
さらに試補として分署に配属されます。
(この「分署」とういうのが、
つまり「最前線」なわけです。
それは本署でも、警視庁でもありません。)
さて、
分署についてみると、そこには、
ちょっと上の先輩たち、
上司たち、
その上の管理職たち、
が待ち受けていました。
ただ彼らもそれぞれに、
個人的な問題を抱えているのです。
そしてそんな分署に、
昼夜、事件は押し寄せてくるのです……

物語の中盤、
同じタイプの事件が集中的に起きます。
それは性犯罪なので、
物語的にはややモタレルのですが、
ドラマのモチーフ自体とも関わるので、
仕方ないのかもしれません。
その点以外は、
前半も後半もよかったです。
若い試補たちだけに焦点を当てるのではなく、
複数の世代が抱える様々な問題を展開させたおかげで、
物語に深みが出て、多層的になりました。
成功のポイントだったでしょう。

見終わってしまったのがちょっと残念だと感じますから、
「わたし」は見たがっていたんでしょう。
おもしろかったです。