2023年3月20日月曜日

『テーラー 人生の仕立て屋』

ギリシャ映画で、
公開当時気になっていた映画、

『テーラー 人生の仕立て屋』(2021)

を見てみました。(アマプラ)


舞台はアテネ。
(公式HPには、細かい場所が示されていました。)
父親と二人でテーラーを営むニコ。
その隣には、夫婦と少女の3人家族が住んでいます。
ニコのテーラーは、今や経営破綻直前。
(まあ、ギリシャですから、
高級品であるオーダー・スーツが、
そうそう売れるとも思えないですね。
これはあくまでイメージで、無責任に言ってるだけですが。)
しかもニコの父親が倒れ、入院することに。
そんな中、ニコは「屋台」を作り、
それを引いて町に出て、服を売ることを思いつきます……

メイン・ストーリーは、
ニコの仕事の行方なんですが、
サブ・ストーリーとして、
隣の家族の奥さん、ロシア系(おそらく)のオルガとの、
淡い恋があります。
オルガの夫は、がさつなマッチョで、
無口でつつましいニコとは正反対。
しかもオルガは、
ニコの仕事を手伝うのが大好きなのです。

このサブの方の描き方を見ていて、
女性監督に違いないと思ったら、やはりそうでした。
これ、分かるんですよね。
女性監督の描く男性は。
(先日も書きましたが、
その反対はどうなんでしょう?
女性は、男性監督の描く女性が分かるんでしょうか?
おそらく、分かるのでしょう。)

映画自体は、
画角も、色彩も、とても丁寧に作られていて、
またセリフも少なくて、
それらの点はとても好感が持てました。

この主人公、
ジャック・タチと比較されているようです。
わたしは、特に似ているとは感じませんでしたが。

そして、
敢えて言うなら、
この映画の最大の弱点は、
ギリシャの「状況」において、
主人公が個人としての対応しか考えていないこと、
つまり、社会への視線が欠落していること。
そして女性が、
ぶしつけで威嚇的な男の元に戻ること。
そしてこれら2点を、
あたかも美談のように描いていること、
なのでしょう。