2023年3月23日木曜日

『人魚伝説』

大学院ゼミ、院生セレクション、
今週見たのはこれです;

『人魚伝説』(1984)

テーマは、映画における身体性、です。
監督は池田敏春。
院生は、彼の古くからのファンなんだそうです。

舞台は三重県の志摩半島。
そこで、海女をしているみぎわが主人公です。
彼女は、夫とコンビで、アワビを捕る仕事をしているのですが、
ある日、この夫が、海上での殺人事件を見かけます。
これを調べていると、
今度は夫が殺され、彼女も命を狙われる羽目に。
で、この事情を探っていく内、
背後には、この土地を再開発して、
レジャーランド(後に、実は原発だと判明)を建設しようと企む男たちがいて、
彼らがこの一連の殺人に関わっていることが明らかになります。
みぎははそこで、行動を起こします……

この映画、なんというか気楽に見ていんのですが、
話が進む内、座り直すというか、
真剣に見始めました。
みぎはが抱いていた個人的な疑問、そして恨みが、
やがてもっと大きな構図と二層構造になっていたのです。
映画は、その辺をうまく描いています。
そして最後には、
その二層が溶け合ってゆくのです。
なんというか、
びっくりするほどちゃんとした映画でした。

この映画の、ラストや、さまざまな細部を、
こんな風に変えたらどうだろうと想像したんですが、
ことごとく、映画の方がいいと思えました。
これ、リメイクに値する作品だと思いました。