2023年3月15日水曜日

『スイス・アーミー・マン』

『エヴエヴ』のダニエルズが監督した、

『スイス・アーミー・マン』(2017)

の話を院生たちとしたので、
久しぶりに見てみました。


この映画、とてもおもしろいんですが、
何かを言うのは難しいんですよね。

物語そのものはシンプルで、
無人島に漂着し、
孤独と倦怠の中で自殺しようとしていたハンクの前に、
ひとつの人間の体(生きてる? 死んでる?)が流れ着きます。
そしてこの身体こそ、後にメニーと名乗る人物(?)で、
彼が、スイスのアーミー・ナイフのように「役に立つ」ことが、
しだいに判明していきます。
奇想天外ですが、
とりあえずおもしろいし、
あまり「意味」を考えずに見ていると、
あっという間に見終わってしまう(いい意味で)怪作です。
A24らしい雰囲気もたっぷりあります。

このメニーとは何を象っているのか?
いろんな答えが可能でしょうが、
第一印象は、
もう一人のハンク、
あるいは、ハンクの中にある、可能性としてのハンク、
という感じです。
ハンクとメニーの対話は、
自分との問答のように聞こえるのです。

『エヴエヴ』も見たいんですが、
近場の映画館だと、
ちょうどいい上映時間がないんですよねえ……。