ここまで続けてきましたがついに最終回を迎えました。
で、院生セレクションのラストは、
フリッツ・ラングの
『スカーレット・ストリート』(1945)
を見ました。
よくできた映画でした。
出納係として25年まじめに働いてきたクロス。
趣味は絵を描くこと。
彼は5年前、孤独に耐えかね、
夫の警察官が殉死した(とされる)アデルと再婚したものの、
この女性、
暖かさの欠片もなく、
つねに前夫と比較してクロスを罵倒し続けます。
そんなとき、クロスは街角で、
男に殴られている若い女性と遭遇。
クロスは思わず助け、
その助けた「きれいな」女性に好意を持ちます。
そしてその好意を利用して、
女性と彼女の愛人がクロスを利用することを決めたときに、
物語が、クロスの転落が始まります……
実はこの映画、
1930年のジャン・ルノワールの作品、
『牝犬』
のリメイクでした。
(原作の小説あり。)
で、YouTube にあったこちらの抜粋と見比べたところ、
ラストシーンの意味づけの方向が、
大きく異なっていました。
金持ちらしい客に買い取られてゆくクロスの絵、
それが、あの若い女性の肖像なのか、
自画像なのか、のちがいです。
そしてこの違いは、
2つの作品のテーマと直結しているのでした。
映画自体もおもしろかったですが、
比較もおもしろかったです。