今年見た35本目の韓国映画は、
『監視者たち』(2013)
です。
https://www.youtube.com/watch?v=LWsgMznJSvc
警察内の、
「監視室」と呼ばれる部署を舞台として、
そのチーム、
及びそこに新規に配属された若い女性刑事「子豚」と、
優秀なリーダー「影」に率いられる犯罪集団との、
「息詰まる」駆け引きの物語です。
「影」を演じるのは、
『アシュラ』で悪にまみれたチョン・ウソン。
(『アシュラ』の時より、少し貫禄が付いている感じ。)
そして「子豚」(というあだ名に問題を感じますが)
を演じるのは、ハン・ヒョジュです。
緊迫感があり、
エンタメとしては良質だと思って見ていたんですが、
終盤になって、
さすがにこれはないでしょ、
という「ご都合」がいくつか連続して、
そこはちょっと今日を削がれました。
でもまあ全体としては、わりといいんじゃないでしょうか。
この映画は、基本的には、
「子豚」と呼ばれるハン・ヒョジュの成長物語です。
ただ、たしかにある「成長」は見せていますが、
それは
(ちょっと意地悪く言えば)
男性的ホモソーシャル内のルールを内面化する過程だ、
とも言えるようです。
実は映画内には、
もう一人目立つ女性がいて、
彼女はこの監視チームの室長です。
この女性は、
『Master』でキムママ役だったチン・ギョンが演じていて、
たしかに颯爽としていてかっこいいのですが、
やはり「男性」的ではあります。
ハン・ヒョジュにはボーイッシュな可憐さがあり、
チン・ギョンには「女性」的な美しさがあることは間違いないので、
そこに目が行ってしまいそうですが、
彼女らの内面は「男性」的だと感じます。
女性にとって、
男性中心的な集団の中で「成長」することが、
その集団の規範を内面化するということでしかあり得ないなら、
女性の成長物語というのは、
結局男性中心主義を強化する方向に行ってしまうわけですね。