2020年3月5日木曜日

『教授とわたし、そして映画』

ホン・サンス監督の作品、

『教授とわたし、そして映画』(2010)

を見てみました。
4部構成で、
1,2は、同じ男性の現在と過去、
3は、彼の教授、
4はオッキという女性、
の視点で撮られています。
4のタイトルが「オッキの映画」で、
映画全体のオリジナル・タイトルも、
それと同じです。

三角関係の話です。
オッキは映画学科の女子大学生で、
彼女は、明らかに50代に見える教授のことが好きで、
一度だけ、ベッドをともにしたこともあります。
そしてもう一人の男性は、
オッキの同級生です。
つまり、男性教授と、
男女二人の教え子の間の三角関係です。

教授は、なんというか、
むだにロマンチックで、実は狭量な人。
まあ、年齢も行っているし、
映画監督でもあるということなので、
経験からくる知識はあるのでしょうが。
そして男子学生は、
女に目がないいいかげんな奴。
短期的には、「女を手に入れる」ために、
やみくもに一途になりますが、
そこにも、自己欺瞞の匂いがします。
そしてオッキ。
教授への接近は彼女の意思だったわけですが、
同級生との付き合いは、
必死で求められて、
その必死さにシンクロするように、
(相手の欲望そのものを欲望するように)
始まったものに見えます。

多くの人が指摘しているように、
ロメールやトリュフォーの雰囲気が思い出されます。
そうした「タッチ」が好きなら、
好きになれるのでしょう。
わたしの場合は、
終始苦笑いをしながら見ているような感じでした。
以前にも書きましたが、
小説家が出てくる小説、
演出家が出てくる芝居、
映画監督が出てくる映画、
こうしたものは、
基本的にわたしは苦手です。
今回も例外ではありませんでした。