2020年3月14日土曜日

『女は冷たい嘘をつく』

『女は冷たい嘘をつく』、
というタイトルに邪魔されて見るのが遅れたのですが、
原題は
『ミッシング:消えた女』
くらいの意味だと知って、見てみました。

『女は冷たい嘘をつく』(2016)

https://www.youtube.com/watch?v=VYkw92J6U9k

とてもよかったです。

医者と離婚したライターの女性、イ・ジソン。
幼い娘を引き取り、
シングルマザーとして奮闘しています。
(ただ、夫側から、娘をよこせと裁判を仕掛けられています。)
そんな中で、ジソンは、
新たなベビーシッターを雇います。
彼女、ハンメは、とてもよく仕事をしてくれますが、
ジソンが仕事にかまけているある日、
ハンメが、娘と一緒に姿を消してしまいます。
二人の行方を探すうち、
ハンメが背負ってきた「重荷」と、
そこから来る行為の「意味」が、
しだいに明らかになってゆきます……。

これはたしかに「ドラマ」、
しかもよくできた「ドラマ」にちがいないのですが、
やっぱりちゃんとしてると感じるのは、
背後に「社会(問題)」が感じられる点です。
エリートで医者で遊び人の男、
おそらくは彼を甘やかしダメにしてしまった母親、
働くシングルマザーに辛く当たる職場、
そして一番強く印象に残るのは、
やはりハンメのプロフィールです。
彼女は、「祖父が中国人」で、
彼女自身も「中国人」、という風に描かれます。
そして、韓国語も不十分なまま、農家の嫁にやってきた、
そこで期待されているのは、
とにかく子供を産むこと……、なのです。
(近所の農家もまた、同じように外国人の女性と結婚していました。)
つまり彼女は朝鮮族で、
祖父の時代に韓国を出て行ったのだろう、と考えられるわけです。
ドラマの背後に、
こうしたさまざまな社会問題を自然に配置しているのが、
一般に韓国映画の美点なのだと感じています。
そしてそうした社会問題は、
往々にして歴史的でもあるわけです。

主演のオム・ジウォンもよかったので、
別の彼女の出演作を見てみようと思います。
ここまで、
たくさんの魅力ある男性俳優を見てきたので、
今度は女優も、もっと知りたいところです。