2020年3月19日木曜日

『82年生まれ、キム・ジョン』

一昨年の暮れに出版され、
今なお売れ続けている
『82年生まれ、キム・ジョン』
を読んでみました。
かなりゆるく組んであって、170ページほどです。

82年生まれの女性の半生を描く「小説」です。
彼女の人生をたどることが、
その背景となった時代の様子も活写してゆきます。
もっといえば、
その時代、「女性」がどれだけ尊厳を奪われていたのか、
主人公がそれに気づく、という形で描写されてゆきます。

読んでいて、
何度か胸が詰まりました。
男たちこそ読むべきだ、
という感想があるようですが、
同感です。
これはフェミニズム小説です。
韓国映画を見ながら、
「女性」の視線を探していたのですが、
これがなかなか見つからず、
この小説を手にしたわけですが、
読んでよかったです。

(ただ、「情報」としては新鮮で面白かったのですが、
「文学作品」としてどうかと言われると、
語りの構造や、描写の濃度などに、
少し「?」も残りました。)