2020年3月20日金曜日

『傷だらけのふたり』

ファン・ジョンミン主演の映画、

『傷だらけのふたり』(2014)

を見てみました。
(これもまた、Amazon Prime 無料版です。)

https://www.youtube.com/watch?v=RDm_r1rszmI

高利貸しの取り立て屋、ハン・テイル。
彼がある日、
昏睡状態にある男の取り立てに向かった時、
そこでその男の娘と出会い、
一目ぼれしてしまいます。
実はハン・テイルは、
そんな仕事をしているものの、
根はやさしい人間です。
この娘が無理やり書かされた覚書を、
ボスに言って、
自分のボーナスの代わりにもらい受けることにします。
で、それを娘に返すのですが、
その条件に、
ある回数一緒に一時間過ごすことを要求します。
彼女が好きだからです……
ここまでで、物語の1/4くらい。
この後、この二人の関係は予想外の方向に滑ってゆきます。

この映画のコメントとして、
「純愛映画」という表現が見られましたが、
たしかにそうも言えるでしょう。
まあ、涙なしに見るのは不可能な感じ。
ファン・ジョンミンは、
もちろんたくさんの作品で主演しているわけですが、
今回は中でも特によかったと感じます。
少し「おセンチ」ではありますが、
引き込まれました。

それにしても、
なぜ「おセンチ」なのに引き込まれるのかと言えば、それは、
ハン・テイルと家族の関係がかなり細かく描きこまれ、
そこには韓国の世相や、
兄弟間の感情の機微、
微妙な嫉妬や静かな葛藤まで、
観客に伝わってくるからでしょう。

また彼が好きになる女性(ハン・ヘジン)はクリスチャンで、
借金を取り立てられる司祭(神父?)も、
劇中で朗読される物語に登場する司祭もいます。
ハン・ヘジンは、
実生活でもクリスチャンであることが知られているようなので、
そのことと関係あるのでしょう。

ハン・テイル(ファン・ジョンミン)の兄に、クァク・ドウォン、
取り立て屋のボスに、チョン・マンシク、
チョイ役のやくざに、パク・ソンウン、
と、脇役も締まっています。
特に、クァク・ドウォンは、
小市民の持つさまざまな面を多様に演じていて、
感心しました。
鉄仮面的な役が多い気がしますが、
こんな演技もできるんですね。