セシル・ドゥ・フランスとフランソワ・ダミアンが共演し、
ミッシェル・ルクレールが脚本に参加している映画、
Otez-moi d'un doute (2017)
見てみました。
https://www.youtube.com/watch?v=vXsUR462Rnw
ブルターニュ地方のエテル。
エルワンは、地雷などの爆発物処理を仕事とする中年寡夫。
(第2次大戦で使われた地雷が、まだ残っているのです。)
彼には父親のバスティアンと、
娘のジュリエットがいます。
彼女は妊娠中ですが、
赤ん坊の父親は「誰だか分からない」と言い張っています。
アンナ・レヴキンは医者で、シングルの中年女性。
彼女の父親ジョゼフはロシア出身で、
かつてはボルシェビキのメンバーでした。
彼は自分が飼っていた歴代の犬たちを、
ポル・ポト、チャウチェスク、ピノチェト、などと名付け、
彼らにあれこれ命じる中で、
独裁者をからかっています。
(もちろん犬は可愛がっています。)
アルジェリア戦争に反対して、
サルトル率いるデモにも参加した経験があります。
アンナのは母は、
アンナが10歳の時パレスチナに行ってしまいました。
「世界の悲惨すべてを相手にするつもりで。
でも、自分の娘の相手はしないわけ」
とアンナは言います。
出産日が近づき、
ジュリエットのお腹の子どもの遺伝病の検査があったのですが、
そこでなんと、
エルワンとバスティアンに血の繋がりがないことが判明。
エルワンは迷いますが、結局、
私立探偵を使って父親を捜します。
それが、隣町に住むジョゼフでした。
そしてエルワンはまた、
まったく別の小さな事件を通してアンナを知り、
彼女にほとんど一目惚れしてしまいます……
というわけで、
こんな「ベタ」なストーリーです。
紹介の文章を読み、
だいだいこういうことはわかっていて、
正直に言えば期待はしていませんでした。
「ヒューマン」なクサイやつかもしれないし。
ところが!
これが、驚くほどよくできた映画でした。
激しいんですが、しっとりしてるというか。
そうなった一番の理由は、
やはりキャスティングがよかったということでしょう。
フランソワ・ダミアンもセシル・ドゥ・フランスも、
そして父親役の二人も、
みなよかった。
クロースアップと引きの切り替えもよかったし、
セリフも少ないながらピリッとしていたと思います。
ただ、わたしから見てやや弱いと思ったのは、音楽。
クラシックの曲が何曲か使われているのですが、
これが、あまり映画と合っていないと感じました。
もちろん、たとえば「魔笛」の「パパパの二重唱」などは、
子どもを持つ喜びが語られてもいるわけですから、
これがかかれば、
そういうことが起こるのだろうと予想はできます。
でも……
「魔笛」の解釈は一様じゃないし、
時代も場所もかけ離れ過ぎていて、
ちょっと居心地が悪い気がしました。
あるいはまた、こんな曲。
https://www.youtube.com/watch?v=bmvvaBmpVdk
いい曲ですが、
そのまんま、というか……
ちなみに、ジュリエット役を演じて居たAlice de Lencquesaing は、
『パリ警視庁未成年者保護特別部隊』の中で、
暴行されて妊娠し、
その子を中絶するというハードな役を演じていました。
今回は、無事生めて、ほっとしました。