2022年3月1日火曜日

「ハウス・オブ・カーズ」・シーズン5

やっとシーズン5が終わり、
そのままシーズン6に突入しています。
いよいよ最終シーズンです。

シーズン1~3あたりに比べて、
4,5あたりがやや物足りなく感じるのは、
「弱い人間」
がいないからじゃないのか、
と思うようになりました。
「弱い人間」は物語から消え、
迷いを抱えていた人物たちも、
いつか、あつ1つの方向を向くようになりました。
そこが、物語に浅さを与えてしまっているというか。
まあそれでも、
ドラマ作りはとてもうまいので、
「ふつう」のドラマ以上にはおもしろいんですけどね。

今年の修士論文の中に、
「第四の壁」
を扱ったものがありました。
これはもともと演劇用語だそうで、
たとえば、舞台上で、
ひとつの部屋の場面が展開しているとします。
するとその部屋は、
たしかに3つの壁で囲まれていますが、
第四の壁、
つまり観客との間にあるはずの壁は、
実際にはないわけです。
ないのに、
演者も観客も、
それが「ある」という体で演劇を演じている/見ているわけです。
でも、
ある瞬間、
登場人物の一人が舞台から、観客に向かって、
そんなとこで何見てんだよ!
と言ったらどうでしょう?
これは、
ないんだけど「ある」ことになっていた第四の壁が、
やっぱりほんとはないんだということを明らさまに示しているという意味で、
第四の壁を壊す行為だと言えるわけです。

ただ思い出してみると、
そういう演劇も映画も、
たくさんありました。
とりわけ珍しいわけではありません。
ただ、
映画より「日常」に近い「ドラマ」においては、
そんなになかったんじゃないでしょうか?
実は、「ハウス・オブ・カーズ」もそうだということは、
すでに触れました。
主人公が、
わたしたちに向かって話しかけてくるのです。
そして……

シーズン5になると、
なんと、別の人物が、
そしてシーズン6では、
さらに別の人物も、
わたしたちに話しかけてくるのです。
なんというか、
わたしたちもまた、もう逃げられない感じなのです。

結末はいかに……