カンボジア系中国人の物語、
と聞けば、
それだけで見たくなります。
で、
買っておいたDVDを見てみました。
『追憶と、踊りながら』(2014)
(原題は Lilting)
ジェンは60代のカンボジア系中国人で、
今は介護施設にいます。
彼女の楽しみは、一人息子カイとの面会です。
本当は、息子と暮らしたいのに、
息子は「友だち」と暮らしていて、
自分はこんなところに……。
そして息子のカイはゲイで、
一緒に暮らしているのは「友だち」ではなく恋人なんですが、
カイはそれを母親に言えていません。
で、意を決して言おうと思っていた日、
カイは事故に遭い、亡くなってしまうのです……
最大のテーマは、
言ってしまえば、移民一世と二世の齟齬、
ということになるでしょう。
これ自体は、決して珍しいテーマではありません。
ただこの映画の独自性は、
その齟齬を、
息子の同性愛、
そしてそれをカムアウトすることと結びつけた点にあるのでしょう。
もちろん、それは映画ですから、
登場人物たちの魅力や、
画面の雰囲気などが重要なのは言うまでもなく、
そちらは、なかなか成功していると思いました。
基本的には静かな映画です。
登場人物も少ないし、
少し、「演劇」的でもあります。
でも、
なんというか、
あっさりした、でも食べ続けたくなる料理のようで、
さくっと最後まで見られてしまいます。
これは単にわたしの好みですが、
ロンドンらしさをもっと出すと、
(というか、今はほとんどありません。)
いろんな点でよかったのかなと思いました。