ノリウッド。
ナイジェリア映画のことですね。
(もう少しローカルですが、
ナイジェリアのカノで作られるイスラム系の映画を、
カニウッド、と呼ぶこともあるようです。)
最近気づいたのですが、
ネトフリには、10本以上のノリウッド作品が挙がっています。
せっかくなので、とりあえず、と思って見てみたのが、
『オロトゥーレ』です。
この「オロトゥーレ」というのは、
ヒロインの名前です。
彼女はジャーナリストで、
ナイジェリアの人身売買の現状をリポートすべく、
売春婦になりすまして潜入取材を試みます。
やはりジャーナリストである恋人が、
バックアップします。
映画が始まった当初、
色彩は豊かだし、音楽は派手だし、パーティーはあるしで、
なかなか賑やかで元気のいい映画だと感じました。
が、
ある晩ヒロインが、売春婦として出かけた政治家のパーティーで、
薬を飲まされ、乱暴されてしまいます。
これは単純にびっくり。
どうやらわたしは、無意識のうちに、
女性記者はどんな危機にあってもギリギリでうまくかわし、
ワルの組織には鉄槌が下るだろうと思っていたようです。
実はこの映画、そうじゃありませんでした。
ヒロインと仲良くなる売春婦は、
田舎にいる妹と一緒にヨーロッパに渡ることが夢で、
ブローカーにお金を渡しています。
たまったら、連れてってやる、というわけです。
で実際、やがてお金がたまり、
彼女と妹は、他の10人ほどの売春婦と一緒にバスに乗せられるのですが、
こうした流れを取り仕切っているマフィアは、
たしかに彼女らを渡欧させはするものの、
それは彼女らを売春婦として働かせるためなのです、ヨーロッパで!
ひどい現実です。
でも女性たちには、この渡欧以外、
現状を変える選択肢はないのです。
たとえ、今より悪くなるかもしれないとしても。
特に印象に残ったのは、
マフィアが、女性たちを洗脳しようとするシークエンス。
魔術師は、女性たちを裸にし、
その肌に動物の地を塗ったかと思うと、
今度は棺に横たわらせ、
主人に背いたらわたしは棺に入る、
と唱えさせるのです。
軽い映画だろうという予想は裏切られました。
この映画で描かれたナイジェリアは、
ほとんどディストピアです。