2021年3月18日木曜日

sociale

昨日、Le gang des Antillais のことを書きましたが、
1つ忘れてました。
ラスト近く、主人公はこうつぶやきます。

... notre lutte à tous ne doit pas être raciste, mais bien sociale.

……わたしたちみんなにとっての闘争は、
人種主義的なものではなく、社会的なものであるべきだ。

この sociale は、「社会階級間の」とも訳すことができ、
そうなると、階級闘争を指すことになるのでしょうが、
映画内の文脈から考えれば、「社会的」ということになるでしょう。
また raciste は、もちろん race 「人種」から来ているわけことですが、
この語はしばしば、「民族」の意味で(間違って)使われます。
ここもそうだとすれば、
「民族主義的なものではなく」
となるのでしょうが、
これは、どちらで訳しても、まあ否定されているわけだし、
主人公の気持ちに大きな差異は生まれないでしょう。
(認識には、差があると思いますが。)

今も世界中で、raciste な運動がたくさん続いていることを考えると、
このセリフは、単純ながら、
なかなか味わい深いんじゃないかと思いました。
「民族」の概念は、
「国家」や「宗教」に利用されると、
あるいは「革命」に利用される場合でも、
たいてい碌なことは起きないわけですからね。