『ベイルート』(2018)
やっと見ました。
主な舞台は、1982、
つまりレバノン内戦中のベイルート。
アメリカの諜報部員カルが
アラブ系のテロリスト集団に誘拐されます。
そして彼らが交渉役として指名してきたのが、
10年前に同じベイルートでのテロで妻を失い、
今はアメリカの民間企業にいるメイソンでした。
カルとメイソンはかつての親友でしたが、
実は、テロリスト集団を率いているのは、
かつてメイソンが世話をしていたカリムでした。
彼は、イスラエルに逮捕された兄と、
カルとの捕虜交換を要求。
けれどもイスラエルは、
自分たちはその兄を拉致していないと主張し……
というお話。
ネットをつらつら見てみると、
この映画への批判が目立ちます。
それは、「映画」として平凡であり、
リズムもイマイチ、シナリオもフツウ、というわけです。
そしてそれ以外にも、
アラブ人の描き方がステレオタイプだ、という指摘もあり、
それはその通りでしょう。
ただ、
わたしの印象では、
この手の映画としては緊張感もあり、
特に遅いと感じるシークエンスもなく、
アラファト議長やイスラエル、アメリカの思惑も
(単純ながら)それなりに分かり、
うまく整理できているように感じました。
(もちろん、レバノン内戦はそんなに単純じゃない、と言われれば、
それはその通りでしょう。)
むしろ、わたしが気になったのは、
ラスト近く、延々と星条旗を映し出していたこと。
これがあると、要は、
レバノン内戦を舞台としたアメリカ(人)の物語、
をこそ描きたかったという意図が鮮明過ぎて、
ちょっと盛り下がりました。
ベイルートを描いた映画としては、
やはり、『キャラメル』が一番好きです。