2021年9月4日土曜日

『ソルジャー・ブルー』

ちょっと気分を変えて、
1970年制作のアメリカ映画、

『ソルジャー・ブルー』

を(アマプラで)見てみました。
この映画は、それまでの西部劇のパターン、
つまり<インディアン=悪者>という浅薄な定型を壊し、
インディアン(ネイティブ・アメリカン)の側からの視点を提示した、
新しい西部劇の嚆矢として知られています。
わたしは不勉強で、今回初めて見ました。


( ↑ アマプラの画質は、もっとずっときれいです。)

舞台は1864年のコロラド。
つまり南北戦争のただ中なんですが、
物語の構図は、北軍とネイティブ・アメリカンの敵対関係にあります。
(いや、正確には「敵対」という単純なことではないんですが。)
そしてその両者の立場の「広報官」的一にいるのが、
青い制服、
つまり北軍の兵士(ソルジャー・ブルー)であるホーナスと、
ニューヨークに生まれ育ちながら、
この2年ほどはシャイアンとともに暮らしていた白人女性、クレスタです。
ホーナスの部隊がシャイアンに襲われたとき、
この二人だけが生き残り、
そこから、隊の砦を目指す道中が始まります……

この映画を、
ホーナスとクレスタの恋愛映画と見ることは可能でしょう。
北軍の「正義」を信じていたホーナスは、
北軍の残虐ぶりと、
ネイティブ・アメリカンたちの実際を伝えるクレスタの言葉に、
少しずつ、変ってゆきます。
それが彼らの恋愛の形です。

ただ、やはりそれは二次的要素なんでしょう。
この映画の価値は、ラスト30分の、
北軍によるネイティブ・アメリカンたちの虐殺の提示にあります。
この映画は、「サンドクリークの虐殺」を題材にしています。


「アメリカ人」は、
そもそもネイティブ・アメリカンたちの土地を強奪したわけですが、
それでは飽き足らず、
白旗を揚げ、
友好の印にもらった星条旗まで掲げていたネイティブ・アメリカンたちに向かい、
大砲を撃ち込み、
銃撃を仕掛け、
さらには、陵辱の限りを尽くしたのです。

ここに描かれている北軍の姿は、
ヴェトナム戦争以降、
アフガンへの侵攻まで、
さまざまな場面での米軍の姿と二重写しになります。
50年以上前、1970年にこんな映画が作られていたなんて。
もっとずっと早く見ておくべきでした。