2021年9月27日月曜日

『勝手にしやがれ』と『霧の波止場』

大学院ゼミの2回目、
まずは、前回見た『勝手にしやがれ』との比較のために、

『霧の波止場』(1938)

を見ました。
WWⅡ突入直前、
インドシナ帰りの脱走兵をジャン・ギャバンが演じます。
お相手は、若きミッシェル・モルガン。


比較のために、
と書きましたが、
そもそもこれは、サドゥールの評言で、
その意図を確認しよう、と思ったわけです。

2作は、単純に言ってそれほど似てません。
ストーリー的には、
殺人犯が逃亡し、けれども最後は撃たれて死ぬ、
という点はたしかに同じですが、
その理由が、
『勝手にしやがれ』では、好きな女性が密告したからであり、
『霧の波止場』では、恥をかかせた恋敵に復讐されるから。
これは似てません。
ただ、学生が、2作の共通点は「停滞感だ」と言いだし、
そう言われてみればたしかにそうなのでした。
1938の停滞と、1960の停滞。
前者は分かりやすく、
後者はやや複雑ですが。

言うまでもなく、
ヌーヴェル・ヴァーグの先兵として知られる『勝手にしやがれ』ですが、
こうして、
1930年代の作品との繋がりを探ることも、
ゼミ的には意味のあることだと思っています。