2008年12月16日火曜日

カオス


今年を一字で表すと…… というのがありますね。今年は「変」だったようです。

詩人の清水哲男さんは、「麻」を挙げていました。なるほど、「快刀乱麻」という表現があるくらいで、麻は乱れに乱れているんですね。ただ「乱」と言うより、映像的で面白いと思いました。

さて今日のフランス映画ゼミでは、「女はみんな生きている」を見ました。コリーヌ・セロー監督の作品です。(現代は「CHAOS」。邦題は訳しすぎ!?)

ストーリーはとりとめないところもあるように思われますが、最大のポイントは、フランス社会におけるイスラムの存在が感じられること。そしてすくなくともこの映画には、封建的で不条理で、女性を抑圧するイスラムの家庭が登場します。ヒロインは、そのくびきから逃走します。が、今度はフランス社会の暗部に絡めとられてしまうのです。

3人の女性が登場します。今言ったヒロイン。ヒロインを助ける主婦。彼女はバカ夫にもバカ息子にもうんざりしています。(愛してない、のとは違います。)そして最後に、バカ夫の老いた母親です。(バカ息子のカノジョたちも出てきます。似たもの同士……)

3人の女性たちは、それぞれの苦しみ(というのは不正確ですが)を抱えていて、それがアクロバティックに結びついてゆきます。

くりかえしますが、ちょっととりとめないです。やや暴力的なシーンもあるし。でもわたしは、フランス映画ゼミでは取り上げるにふさわしい映画だと思いました。(前期はここで、同じ監督の「ロミュアルドとジュリエット」を見たのでした。)

もうすぐ冬休み。よろしければどうぞ!