2022年4月10日日曜日

『モーリタニアン 黒塗りの記録』

タハール・ラヒムとジョディ・フォスターが共演する、

『モーリタニアン 黒塗りの記録』(2021)

を見てみました。
アマ・プラです。


実話に基づいたストーリーです。
映画の中では、14年ほどの時間が流れますが、
それはつまり、
9.11 以降、あるモーリタニア人、スラヒが拘束され、
悪名高いグアンタナモに収監されてからの時間です。

映画によれば、
このグアンタナモに収監されたのは約790人。
その内、有罪判決を受けたのは8人。
そしてその内3人は、控訴審で無罪になったといいます。
グアンタナモで、
恐るべき拷問が行なわれていたことは広く知られており、
にも関わらずこの有罪数というのは、
いかに収監がムリヤリだったかがはっきりわかります。

物語はシンプルで、
無罪を主張するスラヒと、
起訴さえされないまま収監される違法性を指摘する彼の弁護士と、
スラヒを死刑に追いこむことを命じられた軍付きの法律家、
を中心に進みます。
演技達者な俳優が集まり、
演出も素直でよどみがなく、
2時間越えますがすんなりと見られます。
(といっても、拷問シーンはもちろん過酷ですが。)

一箇所、おもしろかったのは、
スラヒが別の収容者と、
シート越しに言葉を交わす場面。
最初ふたりは、アラビア語で話し始めるのですが、
相手がフランス語をしゃべると、
そのままフランス語での会話に。
相手のフランス語はパリのものではないと思っていると、
マルセイユ出身だと。
で彼は、マルセイユ、という名前になり、
彼の存在が一つの伏線になってゆくのです。
字幕ではわかりにくいですが、
どんな言語を使っているのかは、
いつでも重要ですね。