わたしが最初に読んだのもその頃なんですが、
こんな本があります。
『アメリカ映画に見る黒人ステレオタイプ』(赤尾千波)
これは、評論と言うより、
むしろ「教科書」のような構成になっている本なんですが、
アメリカ映画に詳しくないわたしとしては、
当時、いろいろ勉強しながら読みました。
で、
今回の大学院ゼミの初回に『国民の創世』を見た時に、
この本のことを思い出しました。
『国民の創世』には、「黒人ステレオタイプ」が勢揃いしているからです。
というわけで、院生たちにも読んでもらいました。
わたしも、復習を兼ねて読んだわけですが、
今回特に気になった部分は、
1970年代の、黒人女性ヒロインたちのことです。
彼女らは、「強い女」の原型の1つのようなのです。
(『エイリアン』のシガニー・ウィーバーは1979年なので、
その前、ということになります。)
この本に書いていることを総合すると、
この女性ヒロインたちは、
2つの流れの合流地点に出現したようです。
まず彼女らは、
1970年代のいわゆるブラクスプロイテーション映画のヒーローたちの、
「女性版」という側面がありました。
(ヘイズ・コード(1934~1968)のせいで、
「バック」や「ムラトー」というステレオタイプは消失していたわけですが、
この70年代に、「バック」のよみがえりとして、
ブラクスプロイテーションのヒーローたちが出現したそうです。)
そして第二に彼女らは、
かつての「マミー」、
そして「マミー」の一部分が強調された、
夫を叱り飛ばす強い妻「サファイア」、
などの系譜の中で登場した、というわけです。
おもしろいですね。