2022年4月23日土曜日

"choisir entre la peste et le choléra"

フランス大統領選挙、近づいてきました。

ニュースなどの街頭インタヴューを見ていると、
何人もの人が、

 "choisir entre la peste et le choléra"

と答えていました。
ペストかコレラ、どちらを選ぶのか。
まあ、かなり強烈な表現に聞こえますが、
今回のような政治的場面では、
わりと耳にする表現です。
日本でも、選挙の時には、
そう言いたくなることがしばしばあります。

で、
一次投票で3位だったメランション候補は、
大方の予想を大きく超えて、
22%も得票を得ました。
となると誰が考えても、
この票がどちらに流れるか、が大問題です。
メランション候補自身は、
一票たりとも右派には渡さない、
と言っていましたが、
実際には、ル・ペン候補に流れる票は相当あるのでしょう。

彼女については、
いまだに日本のメディアでは、
「極右」というレッテルとともに紹介されています。
ガーディアンは、たとえば安倍政権のことを、
いつでも「極右」と言っていたのが思い出されますが、
それとこれとは事情が違います。
ル・ペン候補は、
「極右」では政権が取れないことをよく理解しています。
なのでここ数年は、
なんというか、ふつうの右派に切り替えています。
移民政策についても、
極端なことは言わなくなりました。
(もちろん、もしも当選したら、
すぐに「極右」に戻る可能性もあるわけですが。)

ただ、マクロンは必ずしも左派ではない。
彼は、文化左派ですが、経済右派です。
ル・ペンはまさに逆で、文化右派で、経済左派。
経済を考えてメランション候補に入れた人が、
経済を優先して考えれば、
ル・ペンに入れることは十分考えられます。

そして……

今のル・ペンを見ていると、
むしろ最初に浮かぶのは、
「国家主義」という言葉です。
トランプと同様、
彼女はフランス・ファーストなのであり、
グローバリスト・マクロンとは、
そこが決定的な違いに感じられます。
(ロシアとウクライナの戦争も、
そういう次元が含まれていそうです。)
そしてル・ペンが勝てば、
フランスとヨーロッパの関係は激変するでしょう。
EUの専門家たちによれば、
それは、ウクライナの戦線にも、
大きな影響を与えることになると。

やっぱり、
(フランス国民じゃないわたしが言うのも変ですが、)
わたしならメランションに入れたいところです。