またこれも大方の予想通り、
ル・ペンの得票はかなり伸びました。
フランスのいわゆる識者たちは、
二極化したフランス、を指摘します。
ただこれは新しいことではなく、
そう、fracture sociale
(社会的亀裂。最近は、社会的分断、と訳されてもいます。)
という表現が登場した2000年頃からのことのように思えます。
要は、
グローバリズムの恩恵を受けている層と、
受けていない層、
ということなのでしょう。
これは、トランプが出現した時にも言われたし、
ブレグジットの時も言われました。
ただ、いや二極じゃなくて三極だ、という指摘もあります。
それは、
マクロン的な「文化左派&経済右派(≒ネオリベ、グローバリスト)」、
ル・ペン的は「文化右派&経済左派」、
メランション的な「文化も経済も左派」、
だと考えられるでしょう。
これらそれぞれの中心的支持層は、
(もちろんやや雑なくくりですが)
都市の、高学歴・高所得の管理職、
地方の、低学歴・低所得のワーキング・クラス、
都市の、高学歴だが所得は必ずしも高くない層、
という風に考えられるでしょう。
おもしろい(?)のは、
フランスの「極」には含まれないもう一極、つまり
「文化も経済も右派」
というのが、
東洋の日出ずる島国で跋扈していることです。
どうしちゃったんでしょう?
で、
こんな話を院生としていたら、
「でも、そもそも日本のナショナル・アイデンティティーって……?」
という疑問が提出されました。
「その足がかりとして、
フランスならフランス革命があり、
アメリカならメイフラワー号、独立戦争、公民権運動なんかがあるけど、
日本は、明治維新? 終戦? 天照大神?」
なるほどな疑問です。
(もちろん背景には、
フィクションである「国家」は、
その下支えに物語を必要とするという事情があるでしょう。)
ただそもそも日本では、
ナショナル・アイデンティティーという概念自体、
広く共有されているとは言えない気がします。
まずそこからなんでしょうけど、
ここをあまりつつくと、
根拠なき妄想が振り回されそうなので、
それもまた心配……