2022年4月7日木曜日

『THE GUILTY/ギルティ』

今回もまた、
ザッピング中に見た予告に惹かれてそのまま見たのが、

『THE GUILTY /ギルティ』

なんですが、
実はこれ、原作のデンマーク版(2018)と、
リメイクのアメリカ版(2021)があります。
両方見てみました。



まず、原作とリメイク、大きな違いはありません。
セリフも、固有名詞が変わるくらいで、
ほとんどそのままです。
(リメイクの方には、
主人公と元妻、そして幼い娘の存在が追加されています。
これは、メイン・ストーリーに対する主人公のコミットと結びつけられていて、
悪くない追加だと思いました。が、
決して大きな変更ではありません。)
強いていえば、
リメイクでは、ジェイク・ジレンホールの演技が見所となっている、
とは言えるかもしれません。
(知らなかったんですが、
彼はスウェーデン系なんですね。)

映画は、ある種の密室劇で、
物語のすべては(110のような)緊急電話受付センターの、
それも一人の中年男性(主人公)のデスクで起こります。
つまり、その電話の向こうでは、
大きな事件が起こっているのですが、
それは一切映し出されることはなく、
電話を通した会話だけで成立しているドラマなのです。
そしてその事件とは、
前科のある男性が、元妻を拉致し、
しかも、幼い子どもたちは置き去りにされ、
どうも様子がおかしい……というものです。

密室劇というのは、
もうどうしようもなく息苦しいものです。
しかも、電話の向こうでは拉致事件が起きています。
息をつけるところはまったくなくて、
半分くらいのところで休憩を入れざるを得ませんでした。
基本的には、苦手なタイプの映画です。
たしかに、これが作品としてよくできていることは、
認めないわけにはいかないでしょう。
「へび」という象徴もとても効いています。
緊迫感も十分あります。
ただ……
冷静なって、あえて厳しく考えると、
大事なところでもう一歩踏み込めていない感も、
ないわけじゃありません。
メイン・ストーリーの二重性も、
それほど深いものでもないし。
つまり……
技巧的には抜群に優れているけれども、
テーマの質、その掘り下げの深さは、
もうちょっといけたかも、
という感じです。