2022年4月30日土曜日

『コフィー』

昨日見た『フォクシー・ブラウン』(1974)と並ぶ、
パム・グリアの代表作、

『コフィー』(1973)

を見てみました。
脚本・監督は、両作ともジャック・ヒルです。


ヒロイン(当然パム・グリア)は看護師です。
彼女には有力政治家の恋人(黒人)がいますが、
幼なじみである誠実な警官(黒人)にも求愛されています。
(彼は、不正に手を貸すことを拒み、殺されてしまいます。)
ただ彼女には、
まだ11歳の妹がいて、
彼女は麻薬中毒で入院中なのです。
離れて暮らしている間妹に仕送りしていたのですが、
ワルがたかり、
妹を中毒にして利用していたのです。
そして物語は、
妹と幼なじみの復讐のため、
コフィーが立ち上がるところから動き始めます……

『フォクシー・ブラウン』と『コフィー』はよく似ています。
ポイントは、
ヒロインの個人的な報復が、
社会的な報復の暗喩になっている点でしょう。
そしてその「社会」とは、
白人が黒人を搾取する「社会」です。
両作とも、
麻薬組織を実質的に牛耳っているのは白人で、
そこに群がる黒人もいるわけです。
『フォクシー・ブラウン』では、
フォクシーの兄がその典型でした。
『コフィー』では、
これはコフィーの恋人です。
彼は黒人でありながら、
そして政治家として黒人の権利を主張しながら、
実際には白人麻薬組織と結託しており、
最後は、コフィーに撃たれます。

で……

『フォクシー・ブラウン』についての批判は、
ほぼそのままこの作品にも当てはまるようです。
それは問題点でしょう。

そしてパム・グリアですが、
彼女の顔は、
典型的なアフリカ系アメリカ人のそれには見えません。
彼女は、あるインタヴューでこう言っていました。

"People see me as a strong black figure, and I'm proud of that," 
 "But I'm a mix of several races: 
Hispanic, Chinese, Filipino. 
My dad was black, and my mom was Cheyenne Indian."


ヒスパニック、中国、フィリピンの血を引き、
父親は黒人、
母親はシャイアン族、
というわけですね。
なるほど。

まあとにかく、
この2022年に見ても、
なかなかかっこいいヒロインなのは確かです。
(そうじゃなきゃ、こんなに調べないし!)

それからこれは蛇足ですが、
『フォクシー・ブラウン』にも『コフィー』にも、
レスビアンたちが登場していました。
単純なことですが、
ある新鮮さも感じられました。