パム・グリアの代表作、
『コフィー』(1973)
を見てみました。
脚本・監督は、両作ともジャック・ヒルです。
ヒロイン(当然パム・グリア)は看護師です。
彼女には有力政治家の恋人(黒人)がいますが、
幼なじみである誠実な警官(黒人)にも求愛されています。
(彼は、不正に手を貸すことを拒み、殺されてしまいます。)
ただ彼女には、
まだ11歳の妹がいて、
彼女は麻薬中毒で入院中なのです。
離れて暮らしている間妹に仕送りしていたのですが、
ワルがたかり、
妹を中毒にして利用していたのです。
そして物語は、
妹と幼なじみの復讐のため、
コフィーが立ち上がるところから動き始めます……
『フォクシー・ブラウン』と『コフィー』はよく似ています。
ポイントは、
ヒロインの個人的な報復が、
社会的な報復の暗喩になっている点でしょう。
そしてその「社会」とは、
白人が黒人を搾取する「社会」です。
両作とも、
麻薬組織を実質的に牛耳っているのは白人で、
そこに群がる黒人もいるわけです。
『フォクシー・ブラウン』では、
フォクシーの兄がその典型でした。
『コフィー』では、
これはコフィーの恋人です。
彼は黒人でありながら、
そして政治家として黒人の権利を主張しながら、
実際には白人麻薬組織と結託しており、
最後は、コフィーに撃たれます。
で……
『フォクシー・ブラウン』についての批判は、
ほぼそのままこの作品にも当てはまるようです。
それは問題点でしょう。
そしてパム・グリアですが、
彼女の顔は、
典型的なアフリカ系アメリカ人のそれには見えません。
彼女は、あるインタヴューでこう言っていました。
"People see me as a strong black figure, and I'm proud of that,"
"But I'm a mix of several races:
Hispanic, Chinese, Filipino.
My dad was black, and my mom was Cheyenne Indian."
ヒスパニック、中国、フィリピンの血を引き、
父親は黒人、
母親はシャイアン族、
というわけですね。
なるほど。
まあとにかく、
この2022年に見ても、
なかなかかっこいいヒロインなのは確かです。
(そうじゃなきゃ、こんなに調べないし!)
それからこれは蛇足ですが、
『フォクシー・ブラウン』にも『コフィー』にも、
レスビアンたちが登場していました。
単純なことですが、
ある新鮮さも感じられました。