2021年8月16日月曜日

『1944 独ソ・エストニア戦線』

『Deadwind』 の中では、
ヘルシンキの対岸のタリンが登場していたわけですが、
考えてみれば、
エストニアのことをあまりよく知りません。
あの『クロワッサンで朝食を』(原題「あるエストニア人女性」)
だけでは、どうしても足りない。
というわけで、
これを見てみました。

『1944  独ソ・エストニア戦線』(2015)

結論から言えば、感動しました。


エストニアは、
たとえば13世紀にはデンマークに、
16世紀にはロシアに侵略され、
その後はスウェーデンとポーランドによる分割支配を経て、
18世紀初めにはロシアに占領され、
WWⅠの際にはドイツに侵攻され、
戦後、ついに独立を果たします。が、
WWⅡが始まると、
1940-41 にはソ連に編入され、
「反乱分子」は強制移住or殺害させられてしまいます。(約6万人)
しかし、
1941,6月になると、ドイツ軍が侵攻・占領を果たします。そして
1944、ドイツの力が落ちたとみるや、ソ連が再侵攻し、占領。
またも「反乱分子」を、シベリアの強制収容所などに送り込みます。(約12万人)

こうして(とても雑ですが)見てみると、
エストニアが味わった苦難は、
ちょっと想像を越えるものがあります。
それを端的に示しているのが、やはりWWⅡの時代で、
ソ連編入時代には、
エストニアの若者たちが兵士として赤軍に動員(55.000人)され、
またドイツ占領時代には、
今度はドイツ軍として動員(72.000人)されたのです。
そして……
1944年、ソ連がエストニアに再侵攻した時、
この両者、つまり、
ソ連軍に入れられたエストニア人と、
ドイツ軍に入れられたエストニア人が、
まさにエストニアの土地で、
互いに殺し合う羽目になったのです。
この映画が描くのは、まさにそうした状況です。

若いエストニア人兵士は言います、
「これは誰が始めた戦争なんだ?」と。
それは、今エストニアを支配しているヒトラーなのか、
フィンランドを攻撃し、バルト三国やポーランドを占領したソ連なのか?
いずれにせよ、これを始めたのは自分たちではない。
これは一体、何の戦争なんだ?
おれたちは、いつかまた独立できるのか?

戦闘場面は、ちょっときれいすぎる気もしますが、
それを差し引いても、
これはたしかに、
作られねばならない映画だと感じました。

(そう、それはそうなんですが、
やっぱり「国家」なんですね、ここで人間が絡め取られているのは……)