2021年8月25日水曜日

『シンク・オア・スイム』



そういえば見逃してた!
という映画が、アマプラにありました。
ラッキー!

『シンク・オア・スイム』(2018) Le Grand Bain

これは、物語以前に、
出演陣が豪華で目を引きます。
また、ジル・ルルーシュ(←好きな俳優)にとっては、
久しぶりの監督作品です。


物語はシンプルで、
それぞれに「問題」を抱えた中年(+α)の男たちが、
男子シンクロナイズド・スイミングのチームに参加し、
そのチームで世界選手権(!)を目指す、というものです。
この縦糸に、
いくつもの「問題」が横糸として描かれてゆきます。
また、チームのコーチとして、
2人の女性が関わってきますが、
彼女たちもまた、「問題」を抱えています。

(今、カッコを付けて「問題」と書いているのは、
それが本人にとって、
つまり主観的に「問題」だと捉えられている、
という意味です。
客観的には、いわゆる「問題」というものとは違う、
という事情も含まれています。)

男たちは6人(+1)。
・マチュー・アルマリックが演じるのは、
うつ病で2年間仕事をしていないベルトラン。
彼には妻(マリナ・フォイス!)と2人の子供がいます。
・ギヨーム・カネが演じるのは、
愛されなかったために、愛することができない男、
否定され続けたために、否定することしかできない男です。
その犠牲となるのは、
彼の妻(エリカ・サントゥ*)と息子、
そしてもちろん彼自身です・
・ブノワ・ポールヴールドが演じるのは、
すでに4社を倒産させたことのある、無能な社長。
愛人を作り、「社長らしく」振る舞うことを望みますが、
実体は空虚です。
・ジャン=ユーグ・アンドラードが演じるのは、
どこにでもいるような、
ミュージシャンの夢を諦められない中年男性。
離婚され、娘にも邪険にされ、
今は娘の通う中学の給食室で働いています。
ある日娘は、父親に言うのです、
パパはデヴィッド・ボウイじゃない、と。

そしてコーチ二人は、
ヴィルジニー・エフィラとレイラ・ベクティという、
豪華で、意外な組み合わせです。
エフィらの方は、元アル中で、
今も禁酒者の会に出席しています。
(マット・スカダーが思い出されます。)
そして彼女が追いかける男からは、
ストーキングで警察に訴えられてしまいます。

この映画も、
昨日見た『ウィークエンドはパリで』に似て、
設定はベタなのに、
丁寧に、深みを持って作られています。
両者とも、お説教くさくないところがいいです。

フランスで大ヒットしたようで、
それには豪華キャストも一役買っているでしょうが、
実際、作品自体も十分楽しめるものでした。
(俳優の中で一番印象に残ったのは、
ジャン=ユーグ・アンドラードです。
あの、『ニキータ』の時の美青年が、
やさぐれたロッカーに成り果てていようとは!)

*エリカ・サントゥ
彼女は、この映画で、主人公の恋人役でした。