ただしタリバンについては、
その実体がなかなか分かりにくい。
日本のメディアのほとんどは、
欧米からの(バイアスのかかった)情報に頼っているし。
またタリバンも、
たとえばその「広報」と「現実」には隔たりがあります。
そしてその隔たりは、2通りあるようです。
つまり、
「広報」が、悲惨な「現実」を隠蔽する場合と、
その逆に、
「現実」が、むしろ「広報」より寛容で、柔和である場合、です。
「私は昨日のタリバンの記者会見を額面通り受け取っていない。
現実には彼らの示した寛容に反する事態は起きる。
だが、ジャーナリストは予断をもって記事を書いてはならない。
「なるに決まってる」という思い込みが欧米では急激に増幅されているが、
彼らはアフガン人を殺した側であり、見捨てた側である。
90年代のタリバン支配の前は略奪、誘拐、性的暴行の嵐だった。
タリバンは秩序の回復を実現したから一時的にせよ政権を取った。
だがイスラム神学生あがりの彼らは、
イスラムの法秩序にしか目を向けず、それに反すると処刑した。
だから恐怖の的になった。
今回、統治を変えるかどうか見定める必要がある
だが、日本を含め欧米諸国はタリバン政権を監視するなら、
イスラム圏に対してダブルスタンダードを使ってはならない。
これまで、サウジ、UAE、カタール 等のアラブ産油国に
一度でも女性の人権を監視するという態度で迫ったことがあったか?
石油を持つ国とは諍いを起こさず沈黙していたではないか?
日本のメディアは、まだタリバンと話をしていない。
欧米諸国の報道を追随する姿勢では、
彼らの偏見を上書きすることになる。
欧米は「自由」をもたらしたが、同時に加害者側であり、
自分たちの戦争犯罪が明るみに出る事を恐れている。
そのためタリバンを叩こうとする面があることも忘れてはいけない。
30年前、イラクの独裁者フセインが、クウェートを占領し、
欧米諸国は奪還のために湾岸戦争を起こした。
戦争を起こすに当たって、印象的な映像があった。
一つは原油まみれの水鳥の姿、
もう一つは涙ながらにフセイン軍の暴虐を訴えるクウェートの少女。
二つとも嘘である事が、後に暴露された
二十年前のイラク戦争の時など、さらに酷かった。
フセイン政権がアルカイダとつるんでいる。
大量破壊兵器を隠匿している。
その「証拠」が米国によって国連安保理に提出され、
後に捏造と虚偽である事が暴露された。
米国に追随した英国は大恥をかかされた。
同盟国さえ欺いた過去を忘れてはいけない。