『柔らかい肌』
を、学生時代以来、40年ぶり(!)に見てみました。
(といっても、アマプラを内をぶらぶらしていて、
ふと目にとまったので、
勢いでそのまま見た、というだけのことなんですが。)
有名な評論家ピエール・ラシュネ。
彼は、パリの高級アパルトマンで、
妻や、まだ幼い娘と暮らしています。
(住み込みらしい?ベビー・シッターもいます。)
そんな彼が、講演旅行にリスボンに出かけた際、
あるフライト・アテンダントに一目惚れし、
また彼女、ニコルの方も、
実はこの評論家のファンだったことから、
「浮気」が始まります。
そしてピエールはどんどんニコルに嵌まっていき、
ニコルとの旅行が妻にばれたのをきっかけに、
もうニコルとの結婚まで突っ走る勢いです。
が、
実はニコルは「浮気」を楽しんでいただけで、
結婚なんて考えてもいませんでした。
一方、夫を愛しながら裏切られた妻は、
猟銃を持ち出してピエールに会いに行きます……
Mmm、どうなんでしょうねえ。
世評の高い映画で、
たしかにニコルはきれいだし、
サスペンスもほどよく作られているのですが、
好きかと言われれば、そうでもない、という答えになるでしょう。
まず、この映画は、
お金のあるインテリの物語で、
まあ、お気楽ね、という印象があります。
アルジェリア戦争が終わって2年ですが、
そういう雰囲気はまったく感じません。
ピエールは、バルザック、ジッド、の話をして、
モーツァルトについての文章も褒められたりします。
「ハイブロー」な生活なんでしょう。
また、描かれるのはいわゆる三角関係なんですが、
男(ピエール)が惰弱で、
映画はその惰弱さを突き放すのではなく、
擁護しているように感じます。
ナルシスティック、と言えば言えそうです。
そして女性ふたりの一方は、
美しいけれど身勝手で、
他方は、直情径行で危険、という風に描かれます。
ミゾジニー、ないし女性恐怖の匂いがします。
とても有名な作品なので、
こうした指摘はすでにあるだろうと思いますが……
あと1点、
繰り返し挿入される音楽の、
なにかがほぐれてゆく感じは、
この映画に流れるものと合っていないと感じました。
1964年と言えば、
もちろん東京オリンピックの年です。
シトロエン、飛行機、テレビ、など、
時代の小物も使われています。