カド・メラッド主演の映画、
『オーケストラ・クラス』(2017)
を見てみました。
原題は、La Mélodie です。
おもしろかったです。
https://www.youtube.com/watch?v=jiD8jPNS4q4
舞台はパリ。
(冒頭、カド・メラッド演じるシモンが、
駅のエスカレーターを上ってゆき、
外に出るシーンがあります。
そこは「お祭り広場」(Place des fêtes)に見えますから、厳密には、
パリ郊外、ではなく、
周縁ではあるけれど、「パリ」の内部でしょう。
『パリ、ジュテーム』の中に、
「お祭り広場」を舞台にした、
オリバー・シュミッツの作品がありましたね。
また、中盤で、
シモンとアーノルド少年が食事していたのも、
お祭り広場に面した店のようでした。)
シモンは、奥さんと別れ、一人暮らし。
15歳になる娘とも、うまくいっていません。
彼はヴァイオリニストなんですが、
今は、仕事がなく、生活のために、
小学校6年生の、音楽クラスの指導を引き受けます。
そしてその音楽クラスには、
コートジボワール系で音楽好きなアーノルド、
アラブ系のサミールやヤエル、サブリナ、
アフリカ系のムクタールやアブー、
またアジア系もヨーロッパ系もいます。
厳格なシモンの指導は、
最初、子どもたちとまったく合いません。が、
生活のこともあるのでしょう、
彼は「指導する」ということの意味に、
だんだん気づいていゆきます……
シモンと子どもたちは、
コンサートでの発表を目指して練習を重ねます。
けれど、さまざまなタイプの問題が起こり、
その都度克服していかなくてはなりません。
で…… こう書くと、
よくある子どもの成長物語に聞こえるかもしれませんし、
それは実際そうなのですが、
でもこの映画はおもしろかったです。
不思議なもので、始まって数分で、
映画に入り込めました。
劇中、何度か演奏シーンがあります。
それはメンデルスゾーンの協奏曲、
バッハの無伴奏パルティータ、などなんですが、
これが、いいんです。
とりわけバッハのほうは、
ここで!?
というところで出てきて、
バッハ好きとしては、グッときました。
そしてラストで子どもたちが演奏するのは、
なんとシェエラザード!
この曲については、
子ども同士の間のこんな会話があります。
(アラブ系のヤエルが男の子たちに向かって)
ーEt les gars, Shéhérazade, c'est rebeu ?
ーC'est ta mère, la rebeu.
(シェエラザードってアラブ系でしょ?
おまえのかあちゃんだろ、アラブ系なのは。)
(rebeu ですから、ニュアンスとしては、
アラブ系の若い人、
パリでなら二世、三世、のニュアンスでしょう。)
で、
実は主人公シモンを演じるカド・メラッドも、
クラス担任を演じるサミール・ゲスミも、
生徒の父親を演じるスリマン・ダジも、
みんなアラブ系。
ケシシュの『身をかわして』に出ていたという監督、
ラシッド・ハミもまた、アラブ系なのでしょう。
つまりこの映画は、
とてもアラブ色が濃い作品だと言えるでしょう。
カド・メラッドは、いい俳優だと思います。
http://tomo-524.blogspot.com/2015/05/bienvenue-chez-les-chtis.html
http://tomo-524.blogspot.com/2015/06/superstar.html
サミール・ゲスミは、やっぱり
http://tomo-524.blogspot.com/2015/04/camille-redouble.html
(『カミーユ、恋はふたたび』)
これにも出てましたね。
http://tomo-524.blogspot.com/2016/07/gare-du-nord.html
そしてスリマン・ダジ。彼はなんといっても
http://tomo-524.blogspot.com/2015/07/rengaine.html
そして
http://tomo-524.blogspot.com/search?q=Chouf
http://tomo-524.blogspot.com/2017/07/debarquement-immediat.html
http://tomo-524.blogspot.com/2019/05/blog-post_31.html
などにも出てましたね。