2022年8月8日月曜日

『ザ・グッド・ファイト』シリーズ3終了


というわけで、
シリーズ3まで見終わりました。
おもしろかったのですが、
ただ、シリーズ3は、
1や2と比べるとちょっと落ちる印象です。
新たに投入された極端に俗な人物が、
あまり好きになれなかったからです。
また、もともと戯画的な面はあったのですが、
それがやや行きすぎた印象もあります。
説明なく出てこなくなった人もいて。

とはいえ、シリーズ4~6がアマプラにあるなら、
もちろん見続けるレベルなんですが、
残念ながら、わたしが使っているところ
(アマプラ、ネトフリ、ディズニー+)
では見られません。
どこかで配信してくれるのを待ちたいと思います。
(スカパーでは見られるみたいなんですが……)

最後まできっちり見られたせいもあると思いますが、
同じアメリカのドラマなら、
『ハウス・オブ・カーズ』
のほうに軍配が上がるかな。
ただ、『ザ・グッド・ファイト』の主演のポーランド系女優、
クリスティーン・バランスキーは、
1952年生まれなので、
65歳の時の作品と言うことになります。
引退するのをやめて働き続けている設定ですが、
仕事も私生活もエネルギッシュで、
カッコいいのでした。


この年齢の俳優を主役に据えて、
年齢のことなど一切問題にしないあたりも、
好感が持てました。

2022年8月7日日曜日

『36リミット』

アマプラでの配信が終了するというので、
まあフランス映画だしと思って見てみたのが、

『36リミット』(2015)

なんですが、これがつまらない。


しょーもないフランス映画の典型的な雰囲気で、
がんばったんですが、
30分見てザセツしました。
ジョイ・スタール、
マニュ・パイエット、
ジル・ルルーシュ、
アデル・ベンシャリフ、
ジャン・ベンギギ……
これだけのメンバーを使って、
このレベルって……

アメリカのドラマの水準の高さを実感する日々なので、
余計しょぼく見えたのでした。
監督はトリスタン・オルエです。

2022年8月5日金曜日

立ち話 ~居場所

今日は、民藝の第一人者、
鞍田崇さんの登場です。

素材を作ること……


倉石さんも山本さんも鞍田さんも、
同僚であることをまったく抜きにしても、
とてもおもしろい立ち話をしてくれています。
あらためて、
総合芸術系は魅力的なメンバー(わたし以外は)なんだと感じています。

素人でさえ

どうでもいい話ですが、
先日の火曜、テニスをしました。
でその時に、
いつもよりだいぶ長くサーブ練習の時間があったので、
つい、気持ちよくバンバン打って、
となると、ほとんどみんなフォルトなんですが、
まあスピードがでて気持ちいいのでそんなことをやっていて、
いざそのあと試合になったら、
サーブが入らない。
で、
今日の午前中もやりにいったのですが、
なんと、ダブルフォルトの連続。
もう、打ち方を忘れちゃったというか、
バラバラになってしまった感じ。

で思い出したのが、
(というか、思い出すのも申し訳ないし、
比較する気は毛頭ないんですが)
去年の大リーグのオールスターでの、
ホームラン競争です。
あの後、
大谷選手はプチ・スランプに陥りました。
そして過去にも、
そういう選手はいたのです。

気持ちよく、
ということは、やや力任せに、
なにも気にせず打ち続けていると、
気がつけば、
フォームが崩れている……
超人的な体力とセンスを持つ人たちと同じようなことが、
こんな町場の、
なんでもないテニススクールのへなちょこ生徒にさえ起こるというのが、
おもしろいような、
不思議なような気がしました。

(でもやっぱり次元が違いすぎて、
ほんとは別のことかもしれません!)

2022年8月3日水曜日

「立ち話」~nature

「立ち話」、
今回は若き同僚の山本洋平先生です。
これは大事な話です。


『戦争より愛のカンケイ』の中で、
破天荒なヒロインのバイヤが、
あるとき、あるマルシェで、
蟹を買います。
生きている蟹。
で、クルマを飛ばして海に向かい、
そこで、海に帰してやるつもりなのです。
でもバイアは、クルマの中でつぶやきます、
小エビ(crevette)だったら、同じ値段で何匹救えたんだろう……
このシークエンスを思い出しました。


2022年8月2日火曜日

『ザ・グッド・ファイト』好調

『カピタニ』が終わったので、
心置きなく

『ザ・グッド・ファイト』

を見ています。
エピソード3の後半まで来ました。


主要人物たちは、
それぞれの「弱点」を抱え、
それがその人物の重要な造形要素になっていて、
引っ張られます。

ストーリー・ラインももちろん大小複数あって、
そこに横糸としてさまざまな事件が絡み、
しかも、
<トランプの時代>
というものが、
多層的に描かれてゆきます。

長い小説を読んでいる気分。
どんどん先が読みたくなります。

撥弦楽器のバッハ

こんなCDがあるの、知りませんでいた。
撥弦楽器で、バッハのチェロ・ソナタを弾いています。
おもしろい!


特に、
52分19秒あたりから始まる第2番のサラバンドは、
初めて聞く雰囲気で、ちょっとびっくり。

CDはこれですね。


これは何度も聞きそうです。

2022年8月1日月曜日

「立ち話」

総合芸術系の同僚である管啓次郎さんが、
ご自身が運営する書評ブログで、
「立ち話」という新シリーズの展開を開始しました。
で、やはり同僚であり、
日本の写真批評の第一人者、
倉石志乃さんが登場しています。


新鮮さ……

そしてわたしも、及ばずながら、
その第4回に参加させてもらいました。


準備は一切なし。
「今、5分いい?」
「いいですけど、7分後から会議で」
「大丈夫。5分は越えないってルールでやってるから」
というわけで、
文字通りのぶっつけ本番。
管さんに乗せられるまま、
あっという間の5分でした!

2022年7月30日土曜日

R.I.P. 佐藤由美子さん

トランジスタ・プレスの代表にして、
詩人で、
文化活動を深く愛していた、
佐藤由美子さんが亡くなりました。
残念です。

一番の想い出は、
やっぱり『敷石のパリ』です。
佐藤さんは、発行人であり、
執筆者でもありました。
発刊記念のイベントでは、
あの新宿のお店で盛り上がり、
楽しかったです。

パリの写真集を出したいという話をしたときには、
発行元になってくれることを快諾してくださり、
その後打ち合わせも重ね、
もう、出版直前まで行っていたのですが、
別の事情とコロナが重なり、
発行を延期している内、
今度は佐藤さんが病を得てしまいました。
今思えば、
コロナにめげず、
あの4月に出しておけばよかった……
そうしたら、
佐藤さんにも見てもらえたのに。

佐藤さん、R.I.P.

『カピタニ』、終了

今日の3つの会議で、
前期のすべての会議が終わりました。
とはいえ、
もっと重責を担うメンバーは、
今後もまだまだ予定があるようで、
ちょっと申し訳ないんですが。

そして

『カピタニ』

エピソード2まで見終わりました。
まあ、どんどん先を見たくなるので、
おもしろいと感じていたんでしょう。


エピソード1に比べると、
展開はゆっくり目ですが、
まあこれで「ふつう」くらいでしょうか。
今度は都会が舞台で、
麻薬がらみの事件捜査です。
ただ、主人公カピタニは、
エピソード2が始まった段階で、
もう警察をやめていました。
というか、収監されていたわけです。
一方、エピソード1でカピタニの相棒だったエルザは、
警官から、麻薬捜査官に出世していました。
二人が絡むところは、
なかなかいいです。

<以下ネタバレします>

おもしろかったんですが、
気になる点もあります。
それはエルザに関することで、
エピソード1での彼女の恋人は、
結局麻薬を扱う軍人でした。
彼女からすれば、当然、
裏切られて思いです。
彼の子を妊娠までしていたのに。
そしてエピソード2でのカレシ
(でもないんですが、まあ、付き合って、
ベッドもともにしていたのは)
同僚の捜査官で、
でも彼はサイコパスでした。
つまり、
美しく強い女性であるエルザは、
男を見る目がぜんぜんない。
男に依存するわけではないんですが、
付き合った男は両方「くず」でした。
これは、シナリオとしてどうなんでしょう?
ひねったミソジニーにも見えてきます。
カピタニが、苦しい運命に翻弄されて、
それでも、
なんとか自分をコントロールしていくのとは、
大きく違います。
収監されたのだって、
ほんとは正当防衛だったし。
さらに、カピタニの周りの女性が、
二人も死にます。
二人ともワルではあるし、
もちろん男たちも殺されているので、
これは必ずしもミソジニーだとは言いませんが。

エルザが可哀想だと感じる人は、
きっと多いのだと思います。
エピソード2が配信されたばかりですが、
もう、エピソード3の予想も見かけます。
文句を言いつつ、
わたしも見たいです。


2022年7月28日木曜日

大学院ゼミ、前期ラスト

ラストの大学院ゼミは10時開始、
ランチを挟んで2本立てでいきました。

午前中に見たのが、

『白鯨』(1956)

です。
ジョン・スタージェス監督の作品の中では、
どうも「評価が低い」ものらしいのですが、
アダプテーションの観点からこの映画を取り上げている論文があったので、
見てみました。
でその後、みんなでその論文も読みました。
(『アメリカ文学と映画』所収)

映画内では、
あのヨナが鯨の体中で三日三晩過ごす物語が神父によって語られ、
主人公である偏執狂的船長エーハブは、
見た瞬間にリンカーンに似ていて、
船が白鯨を求めて向かうのはなんとビキニです。
(映画の公開は、第五福竜丸事件の2年後です。)
そしてこうしたかなりスパンの長い時間意識を背景に、
「白」い鯨と、「赤」い旗と、「黒」い肌の助手と、
ネイティブ・アメリカンの民族の名を持った船が登場する、
という指摘です。
おもしろい論文でした。

そして午後は打って変わって、

『キューティーブロンド』(2004)

です。
これは、映画そのものと言うより、
このヒット作がどこまでハリウッドの作劇セオリーに則っているか、
を確認するために見ました。
映画としてはとても浅いし、突っ込み処も満載ですが、
おとぎ話としてみれば、
やはり教科書通りの、
スムーズで明確な構成をなしていました。
職人技、ですね。

まだまだ勉強すべきことが多いです……

2022年7月25日月曜日

『ザ・グッド・ファイト』

成績付けはあるものの、
夏休みが近づいてきて、
今まで手が出せなかった長めのドラマが射程に入ってきました。
で、
『カピタニ』のシーズン2と並行して見始めたのが、

『ザ・グッド・ファイト』

です。
法曹もので、
主人公はどうやら女性弁護士3人。
まずは、巨大な詐欺を働いたらしい投資家の若い娘、
アフリカ系の、やはり若めの女性、
そしてベテランの白人女性です。
この最後の女性が、
最初の女性の父親に投資していて無一文になりそう、
というのが物語の始まりです。
せっかく引退しようと思っていたのに、
それもできなくなり……

イヤミの効かせ合いなど、
アメリカ的で、
なかなかおもしろい滑り出しです。

2022年7月24日日曜日

『カピタニ』

ルクセンブルク発の犯罪ドラマ、

『カピタニ』

を見てみました。
「カピタニ」とは、主人公である刑事の名前です。


物語は、なじみの型を使っています。
つまり、都会(正確には南部)から刑事が、
閉鎖的で秘密の多い田舎の村で起きた殺人事件を解決する、
という形式です。
ただこのドラマは、
型はごく単純ですが、
多くの文脈を複雑に絡ませていて、
最初の数話を見ても、
その後の予想がまったくつきません。
カピタニの相棒となる女性警官もいい感じです。
(ただ彼女にはフィアンセがいるんですが。)

ドラマ内で使われる言葉の90%ほどは、
たぶん、ルクセンブルク語なんですが、
ときどきフランス語も使われます。
特に印象的だったのが、
「検死報告書」を読み上げる場面。
これがフランス語で、
それまでルクセンブルク語で話していた若い警官が、
突然フランス語を読み上げるのです。
ルクセンブルクでは、
公用語は、ルクセンブルク語、ドイツ語、フランス語、
の3つがあるが、
公文書はフランス語が使われる、
と聞いていましたが、
ああ、ほんとにそうなんだ、
と感じられました。

ドラマと映画の違いは、
「時間」にあります。
それは物理的な時間の長さでもあるし、
それと表裏一体の、
時間感覚、の問題でもあります。
ただ、この『カピタニ』を見て思うのは、
ドラマは物語だ、
ということです。
もちろん映画だって物語ですが、
それだけじゃありません。
この、「それだけじゃない」の度合いが、
映画の方が大きいのだろうと思います。

それにしてもなぜ、人は物語が好きなんでしょうね?

Astrid et Raphaëlle

明日から、NHKに登場です。


フランスでは、すでにエピソード3まで放送済みですが、
NHKはどこまでやるんでしょう?
(ただ、NHKのHPには「初回 パズル前編」とあるので、
これは「エピソード」に入る前のパイロット版 Puzzle を、
2つに分けたものかもしれません。)
で、できれば、字幕で見たいところですが……

2022年7月23日土曜日

Corne de l'Afrique

「アフリカの角」における深刻な飢饉。


無駄な儀式に使うお金があったら、
すぐにこちらに回して欲しいと思います。
日本のメディアの取り上げ方も少なすぎると感じます。

2022年7月20日水曜日

前期授業(一応)終了

大学院のゼミを除き、
学部も院の、授業は終了しました。
いつものことながら、
長かったような、
でも終わってみればあっという間だったような。

今日の1年生のフランス語の試験では、

「彼女が寝ている特、君は彼女を見るか?」

という日本語をフランス語にせよ、
という問題を出したんですが、
これは、先週の授業で聞いてもらったこの曲のサビです。


Est-ce que tu la regardes, quand elle dort ?
Deviens-tu son ombre, quand elle sort ?

お気に入りの曲というわけじゃありません。
ただ、直接目的語代名詞が分かりやすく入っているので、
サンプルとして聞いてもらったのでした。
が、
どうもちゃんと聞いていなかった(!)ようで、
解答を見回ると、
正解がほとんどありません。
で、仕方ないので、
試験中にもう一度サビの部分を流しましたが、
それほど正解は増えなかったような……

2022年7月18日月曜日

最終週

大学の授業は最終週に入り、
通常の授業以外の、
オムニバス講座のレポートなども提出されてきて、
もうず~っとレポートを読んでいる感じです。

先週、
『戦争より愛のカンケイ』
を授業で見ました。
この映画については、
ここでも何度か触れているし、
かつて「ふらんす」でも、簡単に紹介しました。


ただ今年は、
いつもと違う観点から解説しています。
それは、「予防原理」であり、
その背後にある「リスク社会」、
そして「社会的費用」、などのことです。
主人公のアルチュールは、
政治的にはバイアに近い。
でも二人を決定的に分けるものがあって、
それは、鳥類学者であるアルチュールが従っている「予防原理」なのです。
そして映画は、
彼がこの原理を捨てる過程を描いているとも言えるのです。

もちろん、
この映画の最大のポイントが「雑種」であることは変わりません。
ただそれが、
リスク社会を背景にしていると考えると、
より現実感が強まる気がします。

何度見ても、
なにかしら思うものですね、
いい映画は。

2022年7月15日金曜日

ル・ポール

『クイーンとAJ』のことを書きましたが、
すみません、
主役のロバート/ルビーを演じているのは、
ドラッグクイーン界のスーパースター、
ル・ポールでした!


わたしはそもそも、
このスターの名前さえ知りませんでした。
困ったものです。
通りでファビュラスだと思いました!

で……

もしや『クイーンの帰郷』の彼/彼女も有名人?
と思って確認してみると、
名前はアンジェイ・セヴェリンで、
なんと、このポーランドものにも出てました。


まったく分かりませんでした……

それから彼は、またまたポーランドものの
『国家の女 リトルローズ』
にも出てるんですが、
実はこの映画、
半分くらい見たところで止まっているのを思い出しました!
これを見始めたのは、
このドラマ、


の主演の、
マグダレーナ・ボチャルスカがやはりヒロインだったからです。
ちゃんと最後まで見ることにします!

2022年7月12日火曜日

『クイーンとAJ』

先日、ポーランドからパリにやってきた、
華麗なドラッグクイーンのドラマを見たわけですが、
そのせいなんでしょう、
ネトフリがわたしに、
やたらと「ドラッグクイーン」ものを推してきます!
そんなに言うなら、
ということで見始めたのが、

『クイーンとAJ』

です。


NYの、やはり華麗なドラッグクイーン。
浅黒い肌のロバート/ルビーは、
必死に貯めた開店資金を全額恋人に騙し取られ、
仕方なく、元の「巡業」に出るのですが、
それに勝手に同伴してきたのが、
まだ10歳にもならない少女のAJです。
彼女の母親は、ジャンキー&娼婦で、
娘を置き去りにしているのです。
で、ここから、
二人の旅が始まるわけです……

これ、気楽に見るには十分おもしろいです。
やっぱり、ドラッグクイーンて、
すごく spectaculaire で fabuleux だと感じます。
しかも演じている俳優も、かっこいい。
(『クイーンの帰郷』の時もそうでした。)


楽しめそうです。

なんだか、
見たい映画やドラマが溜まってきています。
はやく夏休みになって欲しいです。
(でもその前に試験と採点!)

2022年7月11日月曜日

「沈んでゆく」のか

「東京選挙区」でわたしが投票した候補に、
やっと、やっと、最後の最後で、
当確がつきました。
おめでとうございます。
大暴れして欲しいです。

ちなみに、比例区の方は、
大阪方面で浪人していた女性候補に入れましたが、
見事返り咲いてくれてよかったです。
こちらも大暴れを期待します。

で、内田樹の tweet を retweetします。

*************************

8時から開票速報を見て、8時半に新聞の電話インタビュー。
有権者は「現状維持」を選んだということで、
「現状維持」というのは
「このままどんどん沈んでゆく」ということなので、
そういう運命を日本人は選んだようですという感想を申し上げました。

安倍元首相の銃撃は選挙に影響があったでしょうかという質問に
「あまりなかったと思います」とお答えしました。
あの事件はこれから後の日本の政治にどんな影響を与えるでしょうかという質問には、
メディアが自民党と統一教会の関係について報道しないなら
影響はないでしょうとお答えしました。

ネット上ではすでに周知になっている情報を
大手メディアは隠蔽しようとしていますが、
隠し通すことはできません。
でも、それは
「信者の親族から深い恨みを買っている宗教団体の支援を受けている政治家たち」
のリストを公開することを意味しています。

2022年7月8日金曜日

『ガガーリン』

日本でも春に公開されていた映画、

『ガガーリン』

を、アマプラで見てみました。


舞台は、パリの南東郊外に実在するガガーリン団地。
(Cité Gagarine)
映画は冒頭、この団地の竣工と入居の様子を映し出します。
そして、それから60年。
老朽化が進んだ団地は、取り壊しが決定します。
住民たちは、ためらいなく出ていく者、
立ち退きに抵抗しようとする者、さまざまです。
でも結局、
一家族、また一家族と去って行き、
残っているのはアフリカ系のユーリ(ガガーリンと同じ名前)だけ。
かつて彼の母親は、
子どもである彼を残し、
恋人のモトに走りました。
そして今、迎えに来るといっていたのですが……
ユーリは一人、誰もいないガガーリンに暮らし続けます……

とても評判がいいようで、
また題材もおもしろいし、
期待して見始めました。
ただ、こういう「詩的」な映画に、
最近はあまりうまく乗れません。
映像はキレイだし、
たしかに印象的なカットもあります。
ユーリと仲良くなる、ロマの少女も可愛らしい。
(これらの映画に出ていたリナ・クードリです。



ただ、なんというか、
「現実」が真綿でくるまれているような感じ。
麻薬の売人も出てくるのですが、
こんなにナイーブである可能性は低い気がします。
ロマのキャンプの取り壊しなど、
そうとう「現実」寄りのエピソードもあるのですが、
それでも、「現実」の手触りが伝わってこない気がします。

ある団地の誕生と死を見せるというのは、
アイディアとしてはとてもおもしろいと思います。が、
それにプラスするのに、
美しい映像だけでは、わたしには、
やや物足りないのでした。

蛇足ですが、この挿入歌、


この映画でも使われていました。


意識してる?

Ms. マーベル

Disney+ の新作、

『Ms. マーベル』

を見始めました。


Mmm、これ、かなり期待できます。
『ブラックパンサー』でアフリカ系の、
『シャン・チー』で中国系の、
そしてこの『Ms.マーベル』でパキスタン系の、
ヒーロー/ヒロインを作り上げようとしてるのでしょう。
それ自体「現代的」だと思うし、
またこの映像が、気が利いてる。
単純に、すごいの作るなあ、と思わせられます。

主人公のカマラ(16歳)は、
民族こそ違え、
『ブックスマート』のヒロインたち
(ちょっとイケテナイ女の子という役どころ)
を思い出させるところがあるんですが、
なんでも、
この『Ms.マーベル』の制作者たちは、
『ブックスマート』を意識していたとか。
さもありなむ、という感じです。

楽しみです!

2022年7月7日木曜日

五七五七七

ネット上で指摘されていて、
感心しました。
すごい短歌!



2022年7月6日水曜日

『シェーン』

今日の大学院ゼミでは、
西部劇の名作として誉れ高い

『シェーン』(1953)

を見てみました。
(『ゴジラ』の前の年、ですね。)


ある開拓農民一家。
両親と幼い息子の3人家族。
彼らは、木材で家を建て、
自ら畑を作り、
牛や馬を飼い、
がんばって生活しています。
が、
その一帯を我が物にしようとする一味に、
理不尽な立ち退きを(暴力的に)迫られています。
そんなとき、
通りすがりの男(シェーン)と知り合った一家は彼を歓待し、
4人は次第に仲良くなっていきます。
けれどもシェーンには、「過去」がありそうです。
そしてシェーンは、一家を助けるため、
ワルモノと戦うことになります……

院生たちとの感想会では、
これは、フィルム・ノワールの形式であることが話題になりました。
(取り返しのつかない)過去のある男がやってきて、
あるものたちを助けるため、
殺人もいとわず、
ただその一連のもめ事が終わると、
彼はまたそっと去って行く……という物語形式です。
なので、
この映画を現代にリメイクするのは容易だろうと思えます。
実際、院生によれば、X-MENシリーズのスピンオフ、
『ローガン』


は、『シェーン』を意識していて、
実際劇中で『シェーン』の音楽が流れるそうです。
(わたしも見ましたが、気づきませんでした!)

それにしても、
ここでも「臆病者」は一番ダメな存在で、
「男」はつらくても戦わねばならず、
そこには「銃」がもれなくついてくるのでした。
(シェーンが幼い子どもに銃の扱いを教えていると、
母親が現れ、それをやめさせます。
女性はすでに、ちがう原理を生きています。が、
それはほとんど、
男たちのマッチョで自己陶酔的な美学の引き立て役、
にしかなっていません。)

というわけで、
フィルム・ノワールの原初的な形を持ち、
現代アメリカを覆う価値観があらわに出ている西部劇でした。
ただ、映画としてやや弱いと感じるのは、
主人公シェーン(正しくはシェインですけど)の人間性が単純で、
屈折や葛藤がほとんど見えなかったことです。
バックストーリーは一切語られないし、
彼の個人的な事情はほぼわからないのです。
それがあれば、ちょっと違う映画になったと思います。

2022年7月5日火曜日

『わが谷は緑なりき』

先日の『駅馬車』に続いて、

『わが谷は緑なりき』(1941)

を見てみました。
監督である、ジョン・フォード繋がりです。


舞台はウェールズの、炭坑の村。
(ジョン・フォードはアイルランド系です。)
そこで暮らす一家と、
村の牧師、そして炭坑の社長などがからむ人間模様です。
いくつものストーリーが併走していますが、
目立つのは、一家の美しい娘アンハードと、牧師の恋です。
ただこれは、悲恋、というべきでしょう。
語り手はアンハードの弟で、
つまり子どもの目を通して描かれた世界です。

わたしとしては、
ウェールズの炭坑という存在に、一番興味を引かれました。
というのも、
授業で見せる定番となっている
『パレードへようこそ』
もまた、南ウェールズの炭坑が重要地点だからです。

いろんな繋がりがあるものですね。

2022年7月1日金曜日

『クイーンの帰郷』

ネトフリのミニ・シリーズ、

『クイーンの帰郷』

を見てみました。


物語の始まりはパリ。
そこに一人の、とても人気のある仕立て職人がいます。
とてもおしゃれな人で、
ただ彼は、ゲイ・キャバレーのショーの衣装も担当し、
またそのショーの主役(!)でもあるのです。
彼は、ドラッグクイーンです。
ただ彼は、引退を決意していて、
仕立屋もたたんで南仏へでも……と考えていたのですが、
そこに一通の手紙が。
それは、ポーランドからのもので、
それまでいることの知らなかった自分の孫娘からのものでした。
彼女の母親が病気になり、
腎臓の移植が必要。
それには、「おじいちゃん」しかいない。
彼は迷いますが、それでも、
40年前に捨てたポーランドを目指します……

ドラマとして、すごくデキがいいわけじゃないんですが、
なにしろ、主役のクイーンがかっこいい。
男性の時も、女装の時も。
また、彼の「親友」であるアフリカ系の振付師もカッコイイ。
パリとポーランドの村の対比もいい。
(ちょっとベタかもですが。)
『クイーンの帰郷』というタイトルも秀逸だし。

もう何十年も前、
ピガールのゲイ・キャバレーでショーを見たときのことを思い出しましたが、
もちろん、
ドラマのショーの方が何倍もステキ。
こういうの、見てみたいです!

CONCEPT TOURING

コンセプトは移動するけど、
アーティストは(ほとんど)移動しない、
コンセプト・ツアーリング。
そんなものがあるんですねえ。


CDラック

今や、CDなんか持ってない、サブスクで聞くから、
というワカモノも多いと思いますが、
だいぶ前にセイシュンを送った世代は、
結局手元に大量のCDが残ってしまったのではないでしょうか。
わたしもそうです……。
で、
いつの間には、
encombrant なCDは奥の部屋へと追いやられていたのですが、
その結果、
CDを聞く機会が激減していました。
(YouTubeなんかで済ませちゃうんですね、
特に仕事のBGMなんかは。)
で、
その状況を打破すべく、
可愛らしい脚付きのCD棚を買って、
リヴィングの隅に置く気になりました。
で、
よく選んで買って、
厳選して並べてみました。
たくさんは入りません。
でもこのデザイン、ちょっと気に入ってます。
CDに特化してるので、とっても薄くて邪魔にならないし。


何を選ぶのか迷いましたが、
やっぱり、「ヒラリー・ハーン」コーナーは作ったし、
バッハが一番多くなりました。
ただ、ポピュラー系は入れていないので、
もう1本買って、
ストロマエだのボウイだのシルク・ソニックだのスティーヴィーだの……
も並べてみたくなりました。
(でもまあ、当分はこのままかな……)

半分

今日は6月30日。
2022年も、これで半分終わったことになります。
日本では、「ハーフタイムデイ」みたいなのは聞きませんが。

また今日は、
1年生のフランス語クラスの、
ブック・レポートの締め切り日で、
約50本のレポートが提出されました。
こちらで用意したリストの中から、
好きな本を選んで読むのですが、
今回ザッと見たところ、
『パリのすてきなおじさん』
はいつも通り多くて評判もいいのですが、
『寝転んで読める構造主義』
や、
『三つ編み』
も選んだ学生がそこそこいました。
そしてレポートを読んでみると、
やっぱり、
ちょっとムリヤリでも読んでもらった方がいいな、
と感じます。

後期には、このリストに、
『現代思想入門』(千葉雅也)
を追加するつもりです。
「現代」と言っても、
主に前世紀の話なんですが、
それでも、主に取り上げられているのはフランスの思想家たちなので、
読みやすいし、
いいんじゃないかと思っています。

2022年6月28日火曜日

父性の不在

今日のランチ、
同僚たちと近所の(おいしい)そば屋に行ったのですが、
なんと臨時休業。
ショックを堪えつつ、
斜め向かいのチェーンのラーメン店に向かい、
そこで冷やし中華を食べました。
まあ、同僚と一緒だと、
無駄話がとてもおもしろいので、
ランチのレベルが下がってしまったことも、
すぐに忘れてしまいます。

で、
食事を終えて店を出ると、
暑い……
この肌に直接来る感触は、
まぎれもなく「8月」のものです、
6月なんですが!

今日の映画のゼミでは、
先週見た『奇跡の教室』の解説をしました。
この映画、
まあ宣伝文句的には、
「落ちこぼれクラスがコンクールで優勝!?」
くらいでしょうが、
学生たちのレポートの多くは、
多民族的な生徒たちが、
最初は対立していたけれど、
コンクールのための作業を通して、
自然に共生していくようになる、
というもので、
もちろんそれはそうなんです。
が……

この10年、たった一度だけ、
この映画の特徴は「父性の不在」だ、
と書かれたレポートがありました。
これは、今M2の、
わたしの研究室にいる学生が、
去年書いてきたものです。
これは、別のでゼミで教えていた文脈から導かれたことなんですが、
このレポートを見たときには、
学生が成長している手応えがあって、
嬉しかったです。
まあそれはともかく、
『奇跡の教室』のヒロインであるゲゲン先生は、
その母親の死は語られるんですが、
父親にはまったく触れられません。
また彼女をサポートするのも中年女性で、
その女性にも「男の影」がありません。
生徒たちも、母と子、が2組描写されますが、
やはり父親はまったくの不在なのです。
これはなにか。
ゲゲン先生が「マリアンヌ」(「自由、平等、友愛」の擬人化)
だとしたら、
彼女は、もう恋人を持つ気がないようなのです。
そして恋人が「政治的選択」を表わすとすれば、
現状、選ぶべき選択肢はないことになります。
つまりこのマリアンヌはシングルで、
多くの子どもたち(生徒たち)を育てる母親なのです。
なんとマリアンヌは、シングル・マザーで、
現状を諦め、未来に託す決心をしているように見えるのです。
一見「父親」に見える校長は、
未来=多民族的な生徒たち、を育てる気はなく、
ゲゲン先生や生徒たちにしてみれば、
彼はいわば見捨てられた父親であり、
実質、不在も同然なのです……

『奇跡の教室』は、
一見「文科省推薦」的ですが、
実は、恐ろしいメッセージを含んでいると思います。

2022年6月25日土曜日

『クライ・マッチョ』

というわけで、
今年の春に公開されたイーストウッドの新作、

『クライ・マッチョ』

を見てみました。
この映画、時間をかけて考えれば、
いろいろ言うことが出てきそうですが……


舞台は1980年、
老齢の男マイクが、仕事も妻子も失い、
一人で暮らしています。
そこに、以前マイクを助け、
(自暴自棄になっていたマイクに仕事を振り、
人生を取り戻させた)
彼から見れば恩のあるハワードが訪れてきます。
ハワードには頼み事がありました。
もう5年以上会っていない息子がメキシコにいて、
母親に虐待されている、
行って連れてきてくれ……。
マイクには断ることができません。
旅費を受け取り、メキシコに向かいます。
で、
行ってみると、
ハワードの元妻は豪邸に住んでいて、
一方息子は、ストリートでその日暮らし。
不思議な状況ですが、とにかく、
この息子を連れ帰ることにします。が……

まずタイトルの「クライ・マッチョ」ですが、
「マッチョ」が主格補語なら、
「マッチョとして泣け」
くらいでしょうか。
で、劇中にはたしかに「マッチョ」が出てくるのですが、
それは、ハワードの息子ラフォが飼っている闘鶏の名前です。
もちろんラフォ自身も、マッチョでありたいと願っています。
ただ、老人であるマイクは言うのです、
マッチョの時代は終わった、
嫌がられるだけだ、と。

<以下、ネタバレします>

ラフォの母親が送った遣いの者たちとマイクの間で、
さまざまな小競り合いがあるのですが、
最後、マイクはラフォを国境まで連れて行くことに成功します。
そして別れ際、
ラフォは闘鶏マッチョをマイクに託すのです。
マイクは、可愛がるよ、と言うと、
その闘鶏を連れて、
メキシコの寂れた街の、
やさしくしてくれた女性の元を目指します。
つまり、アメリカには戻らないのです……
これが意味するのは何か。
もちろん、
もうアメリカにはマッチョの居場所はない、
ということでしょう。
そしてまた、
マッチョは嫌われると言いながらも、
マイク自身、マッチョであることを捨てきることはできていないのです。
おれはもうすぐこの世から退場する、
だから、おまえたちの言うことは分かったし、
迷惑はかけないから、
おれのことはおれの勝手にさせてくれ……
と言っているように見えるのです。

1つのヒネリは、
マッチョと名付けられているのが、
いくら闘鶏であるとはいっても、
やはりチキン(弱虫)だということです。
これは、マッチョの仮面を付けているけどチキンなのか、
チキンだけどマッチョなのか、
あるいはその両方なのか、
微妙なところです。
(まあ本質的には、マッチョはチキンなのだと思いますが。
少なくとも、
そういう仮面を被らなければならない程度には。
そう言えば、白井聡さんは、
性的不能者が、その不能性を補うために、政治的マッチョになる、
と指摘していました。
関係ありそうですねえ。)

そしてストーリーについて言うと、
これは大きな無理が1つあります。
例のメキシコ人女性が、
なぜかマイクに惚れてしまうようなのです。
あり得ない展開です。
冷たいようですが、
イーストウッドの自己憐憫にしか見えません。
ファンは大目に見るのでしょうが、
作品にとっては、傷になっていると感じました。
またラストについても、
メキシコを遅れた空間にしてしまっているようでもあります。
いろいろ問題はあるようですが、
院生たちと討論するにはいい素材かもしれません。

2022年6月24日金曜日

『駅馬車』から『クライ・マッチョ』へ

今週の大学院ゼミでは、

『駅馬車』(1939)

を見ました。


たしか、わたしの記憶では、
淀川長治さんが、「一番好きな映画」と言っていたはずで、
一台の駅馬車に乗り合わせた人たちの人生模様、
を描くロード・ムーヴィーだと言えそうなんですが、
アクションあり、
人情あり、
社会の階層性あり、
生と死あり、で、
よくできた映画なのは間違いないと思います。
ただし、
主役のジョン・ウエインが背負っているのは、
これはまちがいなくマチズモであり、
それがなんの疑いもなく肯定されているのは、
時代と言うべきなのでしょう。
女性は、
彼の恋人にして元娼婦であるダラスと、
アメリカ兵を夫に持つ臨月のルーシーが登場するんですが、
いずれも「銃後」の立場で、
マチズモを心配しながら見守るばかり、という感じです。
これも時代でしょう。
1つ興味深いのは、
このルーシーが生み、
しばらくはダラスが面倒見る赤ちゃんです。
この女の子は、なんの象徴になっているのでしょう?
未来のアメリカ?
それとも、
今後も続くぶ厚い「銃後」?
一方、
このルーシーと感情的なやりとりを行なうワルモノは、
同じ駅馬車に乗り込んできたものの、
アパッチの襲撃を受けたときに、
ただ彼一人、殺されるのです。
悪は処罰される、
あるいは、米兵の妻に横恋慕するヤツは処罰される、
でしょうか?

そして……

もう今ではマイナスの価値でしかないこのマチズモが、
タイトルの中に入りこんでいる映画が今年公開された、
と院生が言うので、それも見てみることにしました。
『クライ・マッチョ』です。

(続く)

Adieu 小田嶋隆さん

このところ、
入退院を繰り返されていて、
twitter も途切れがちだったので、
ずっと気に掛かっていましたが、
ついさっきの報道で、
亡くなられたことを知りました。
残念です。

彼の本も何冊かは読みましたが、
なんといっても、
ラジオデイズにおける平川克美さんとの毎月の対談、
ず~~っと楽しみに聴いてきました。
口の悪さは天下一品で、
敵を作ることなどなんとも思っていない、
「エライ人たち」が隠したがる魂胆をこれでもかと開いて見せ、
とめどない冷笑を浴びせる。
マッチョが嫌いで、
ヤクザが嫌いで、
集団主義が嫌いで、
サムライが「大っ嫌いですよ、あんなもん」。
あんなに嫌いなモノが多くて、口が悪いのに、
ファンが多かったのは、
やはり誠実さがあったからでしょう。
もともとはアウトサイダーだったのに、
中心がどんどん右に行ってしまったために、
いつのまにか自分たちが「まっとう」な立場になってしまって、
とまどっている……
そう、彼は言っていました。

かれの毒舌が聞けないのは、
やっぱり、残念です。
ご冥福をお祈りします。

2022年6月20日月曜日

「砂漠の英雄と百年の悲劇」

たった今、NHKの「映像の世紀」を見終わりました。
今回は、

「砂漠の英雄と百年の悲劇」

つまり、あの「アラビアのロレンス」の裏切りから、
『オマールの壁』で「主役」を演じた分離壁までの100年です。
知識としては知っていることでも、
当時の映像を見せられると、
まるで初めて出会うような、
ちょっと大げさに言えば「戦慄」がありました。

これ、いつか授業でも使いたいです。
(1週間、NHK+ で見られるようです。)


ジョバンニ・ザンボーニ

ジョバンニ・ザンボーニ、
1670頃~1720頃 といいますから、
バッハより一回りくらい年上の、
ローマ生まれの作曲家です。


仕事中にかけている音楽は、
70%くらいバッハですが、
リュートは(わたしにとっては)とても仕事向きなので、
バロックのリュートはいろいろ聞きます。
その中で出会ったのが、上に上げたものです。
これ、好きです。


2022年6月19日日曜日

『ベイビー・フィーバー』

ネトフリの新作ドラマ、

『ベイビー・フィーバー』(2022)

を見てみました。


主人公ナナは、不妊治療が専門の医師。
37歳で独身。
付き合い始めた年下の技師はいますが、
彼のことが好き、とまではいきません。
そんな折り、新しい機械が導入され、
試しに彼女が被験者になって使ってみると、
妊娠できるのはあと半年だと判明。
焦ったナナは、
酔った勢いで、
となりの精子バンクから元彼の精子を盗み、
それを使って自分を妊娠させようと試みます。
が、ここからが大変。
泥棒が入ったと大騒ぎになり、
戸締まりの責任者だった親友(移民系のシングル・マザー)は
解雇の縁に立たされ、
それでもナナは口を噤んだままで……

見始めてすぐ思ったのは、
いい題材を見つけたな、
ということです。
この設定なら、
おもしろく(interesting)なるのはほぼ確実だと思えました。
つまり、どうやっても、
そこに現代社会の縮図があらわれそうだからです。

ただし、ナナはかなりジコチューな人間です。
悪人ではないので、見続けられますが。

素晴らしい、とまでは言えませんが、
わたしはおもしろかったです!

2022年6月17日金曜日

『モロッコ、彼女たちの朝』

モロッコ映画、

『モロッコ、彼女たちの朝』(2019)

を見てみました。
原題は Adam。人の名前です。
静かな、いい映画でした。


舞台はカサブランカ。
(と言っても、ボギーやバーグマンのそれとはまったく違います。
当たり前ですが。)
小さなパンやを営むアブラ。
彼女には小さな娘と二人で暮らしています。
(漁師だった夫は、
「30分したら戻る」
と言って出ていったきり、
海の犠牲となってしまったのでした。)
そこに、身重の若い女性が、
大きな荷物を背負い、
「何か仕事を」
と言ってきたのです。
最初は断ったアブラでしたが、
子を持つ女性として、
その若い女性を放っておくことができません。
(吉野弘の「夕焼け」を思い出します。
やさしい人こそ、苦労を背負い込むのです。)
そして、数日という約束で居候することになったその女性は、サミア。
ただ、この映画のおもしろさはここからです。
あまり詳しく言うのも憚られますが、
このアブラサミアは、
それぞれに、
自分に禁じているものがあることが分かってきます。
明敏なサミアは、
そんなアブラに気づき、
彼女の心にかかっていた鍵を壊そうとします。
アブラが自らに禁じていたのは、
まさに、生きる喜びそのものでした。
そしてサミアは、何を禁じていたのかというと……

アブラを演じるのは、ルブナ・アザバル。
彼女は有名女優ですから、
出演作はとても多いですが、
たとえば;




でも今回の作品は、彼女の代表作になる気がします。

また、マリアム・トゥザニ監督ですが、
彼女は、この映画のシナリオを担当していました;


これもいい映画でした。

2022年6月15日水曜日

内定お祝い

今日は、大学院のゼミを終えてから、
そのまま院生たちと、
内定を取ったTくんのお祝いの会をしました。
就職って、やっぱり人生の一大事だから、
そのへんの居酒屋で、
というわけにはいきません。
ちょっと足を伸ばして、
なじみのビストロまで行きました。

そこで約3時間。
おいしいフレンチを食べながら、
もうず~~っと映画の話。
過去の、現在の、そして未来の作品について、
いくらでも話は出てきます。
話題になってなくても、
去年から一緒に見たたくさんの映画があり、
それがあることが、
話している間の安心感のようなものを生んでいる気がします。

Tくんが就職するのは、映画会社です。
これだけ情熱と分析力のある彼をとらなくてどうする!
と思ってはいましたが、
ほんとに採用になって、よかった……
今後は、
公開された映画の最後のクレジットに、
とっても小さい字で、
彼の名前が登場するのを、
楽しみに待ちたいと思います。
(いや、でもその前に、
修士論文も書いてもらわないとですが!)

2022年6月13日月曜日

Interview07: 北島敬三(兼任講師、写真家)

総合芸術系、新しいヴィデオを投入しました!
日本を代表する写真家の一人、
北島敬三先生も、
総合芸術系の授業を担当してくださっています!



2022年6月11日土曜日

『完璧な母親』

ネトフリのミニ・シリーズ、

『完璧な母親』(Une mère parfaite・2021)

が配信されので、見てみました。
舞台はパリとベルリン、
言語のほとんどはフランス語です。


主人公はエレーヌ。
彼女は、母親の支配から逃れるため、
若い頃にベルリンに移り、
今はそこで、医師の夫と、高校生の息子と暮らしています。
そしてこの夫婦には、20歳になる娘アニヤもいるのですが、
彼女は今、パリの大学に通っています。
いや、そういう風に、両親は思っていたのです。
そして、そのアニヤが、パリで殺人事件に巻き込まれたという連絡を受け、
エレーヌは急遽パリに向かいます。
実はアニヤにも、ベルリンを離れる理由があったのですが、
エレーヌはその事情を知りませんでした……

4話だけのミニ・シリーズで、
緊迫感はずっと持続します。
重い話ながら、エレーヌはキレイだし、
パリにいる彼女の EX. 
(トメル・シスレー。アラブ系ユダヤ人だそうです。)
も、なかなかカッコイイおじさんで、
二人の関係の変化が、
映画の雰囲気のバランスをうまく取っている感じ。
ただ、
この作品をドライブしているのは、
明らかにアニヤです。
彼女は、いわゆる
「信用できない語り手」で、
他の人物たちも、観客も、
彼女に振り回されます。
「信用できない語り手」が物語の中心にいると、
こんな感じでものがたりは歪むのねえ、という印象。
これは決してダメ出しをしてるんじゃなくて、
素直な感想です。

また、物語の構成としても、
通常ならあるはずの結末が省略されていて、
これも、そこまでの流れと見合っていると感じました。
なかなか考えられてドラマでした。

2022年6月10日金曜日

いい日

今日は、いい日でした。
1ヶ月ぶりにテニスできたし、
大谷は投げて打って大活躍だし、
(わたしが推薦文を書いた)同僚の一人が教育貢献賞を授与されるし、
研究室の院生は第一希望の内定を取ってくるし、
友人から手紙は来るし、
夜は(誕生日会があって)ビストロでおいしかったし、
もう、ほとんどサイコーでした!
(あとは、2アウト満塁で、
牧が1本打ってくれていたら……)

そういえば、
アイナメのポワレ、白ワインとウニのソース
の上に、
細くて長い、
穂先だけがぷっくり膨らんだ野菜がのっていました。


「フランス産の、アスペルジュ・ソヴァージュと言いまして……」
アスペルジュ・ソヴァージュ!
たしかにすこし野生を感じさせる味、と思いましたが、
それは、ソヴァージュ、と聞いてから食べたせいでしょう!

(ただ、今簡単に検索したところ、
今日食べたのは asperge sauvage ではなく、
asperge des bois のようだと判明しました。
勉強になります!)

それ以外はこんな感じ。
まあ、はっきり言って、かなりおいしかったです!






2022年6月9日木曜日

『脱出』

大学院のゼミでは、
先週、『カサブランカ』を見ました。
で、今週は、
この『カサブランカ』を思いっきり意識した作品、

『脱出』(1944)

を見てみました。
ハワード・ホークス監督で、
原作はヘミングウェイ。


時代は1940年、フランスがナチに占領されたばかりの頃です。
場所はマルチニック。
そこで、小型船の船長を務めるハリー(ボガード)が暮らしています。
そして彼の行きつけの酒場兼宿屋に、
訳ありの女性(ローレン・バコール)、
レジスタンスの闘士(フランス人)、
ヴィシー政権の手先、
等が入り乱れ、
ハリーはあやうい選択を次々に迫られて……

ざっと見ても、
『カサブランカ』の換骨奪胎は明らかで、
これはもちろん、わざとやっているわけです。
でも!
なんというか、タッチというか、テクスチャーというか、
それは2作で随分違います。
かたやロマンチックな「物語」、
かたやつむじ風も走る都会的な洒脱/緊張、
とでも言えばいいんでしょうか。
その差がはっきり出ているのが、二人のヒロイン、
バーグマンとローレン・バコールの雰囲気の違いでしょう。
これがデビュー作であるローレン・バコールは、
とても魅力的に描かれています、
これは院生たちとも話したんですが、
ローレン・バコールは、
「守ってほしがる女性」
とはほど遠いのです。
スクリューボール・コメディが得意なホークスにとって、
女性は、
いわば対等な、キャッチボールの相手なのでしょう。

新企画

わたしにとっては、
かなりやりがいのある新企画が、
ある出版社から寄せられました。
ありがたいことです。
もちろん、ぜひやらせてください! とお願いしました。
ただ、まだまさに企画段階で、
これを実現するためには、
いくつか会議を通過させる必要があるようです。

会議を通過した暁には、
この夏を、この企画に捧げる覚悟です!

テニスへ!

目の出血、
各方面から温かい言葉を頂き、
ありがとうございました!
おかげさまで、本日眼科を再診し、
無事、テニス解禁となりました。
(ただ、やっぱり原因は不明なので、
今後の生活に気をつけると言っても、
「特にない」(the doctor said) のでした。
まあ、大丈夫でしょう!
原因不明のことなんてたくさんあるし!)

というわけで、明日は1ヶ月ぶりのテニスです。
ちゃんと振れるか心配。

2022年6月7日火曜日

『アフリカへ行こう』

先日の「特別授業@上智大学」に参加してくださった方から、
大学へ、感想のお葉書を頂きました。
ありがとうございました!

で、
四ッ谷でお話ししたときに名前を出した本、
確認のためにもう一度書いておきます。

『世界中のアフリカへ行こう ー「旅する文化」のガイドブック』

です。
これ、2009年の刊行なので、
もう10年以上経ったんですね。
もちろん、アフリカに関する本はその後も出ていますし、
重要なものも当然あるわけですが、
この本が示している「世界中のアフリカ」という視点は、
今も新鮮に感じます。
アマゾンで見ると、もう絶版のようですが、
古本は安く買えるようです。
よろしければ!

No No !!

今永投手、
素晴らしいNo No 達成!!
おめでとうございます!



2022年6月5日日曜日

「サントリーがある」

 ウケル!

https://twitter.com/NTUY_uncle_bot/status/1532560953476542467

France

007 での印象が、
正直なところそんなによくなかったレア・セドゥ。
(『アデル、熱い色』や、『ダブル・サスペクツ』はよかったけれど。)
彼女が、007 の直前に主演した映画、

France (2021)

を見てみました。
レア・セドゥ演じるヒロインの名前が France de Meurs で、
この映画は彼女の肖像なのでしょうが、
当然、「フランス」の肖像でもあるはず、
と思って見始めました。


フランスは、超人気ジャーナリストで、
作家の夫と小学生の息子がいます。
彼女が一歩外に出れば、
スマホを片手に
Je peux ?
と写真をせがむ人が後を絶ちません。
フランスには、フランスを知らない人はいないようなのです。
ただ彼女のジャーナリストとしての姿勢は、
褒められたものではありません。
真摯さがなく、演出過剰で、
なにより彼女の自己愛が満たされることが重要なのです。
そして、それに気づいた政治家などからは、
オレたちは同じ穴の狢だ、と指摘されたりもします。
であるとき彼女は、よそ見運転をしていて、
配達のバイクをはねてしまいます。
(渋滞中で、スピードは多分10kmも出てませんでしたが。)
轢かれたバイクの青年は、
移民系の貧しい両親とパリ郊外で暮らしており、
それを見たフランスは心を動かされます。
そして、テレビを辞めると言い出すのです……

2時間以上ある映画で、
見ていて「長い」と感じました。
話の展開はどこか気まぐれで、
深まりません。
審美的な映像を多用し、
それはたしかに「美しい」んですが、
この映画に必要なのかどうかは分かりません。
そしてもし、これが「フランス」の肖像でもあるなら、
それは、感情的で、自己中心的で、華やかさが好きで、
偽善的なのに傷つきやすく、甘ったれた何ものか、
ということになるでしょうか。

現実のメディアの評を眺めると、
毀誉褒貶なのが興味深いです。
カイエ・デュ・シネマやル・モンドは5/5なのに、
オプセルバトゥールも、
(右寄りの)ル・フィガロも1/5です。
わたしは、カイエ
(監督はカイエと近い立場のようです。)
とはたいてい違う意見になりますが、
ル・モンドとは近いことが多いので、
ちょっと意外でした。
(もちろんル・モンドと言っても、
複数の担当者がいるのでしょうが。)

日本で公開されても、
それなりに興行成績は上がる気もします。
レア・セドゥだし、
彼女が次々に着る服はとってもおしゃれだし、
日本ではその辺をウリにするのでしょうから。

メディア関係の女性の物語、ということなら、
こちらのほうがずっとおもしろかったです。

2022年6月3日金曜日

Téma !

先週の「特別授業@上智大学」、
短いですけど動画を送ってもらったので、
ご紹介しておきますね。

Téma la ficelle ! (「紐(=Tバック)を見ろよ!」)

の説明のところです。


たった1週間前なのに、
もう懐かしい感じがするのはなぜ?

『トップガン マーヴェリック』

トム・クルーズの出世作と言えば、『トップガン』。
その新作が、
トム・クルーズ自身のプロデュースで帰ってきました。

『トップガン マーヴェリック』

実はこの映画、
見に行くつもりはなかったんです。が、
シネフィルである院生の一人が、
「今年見た中で一番おもしろい、
2日続けて見た。
意味とかメッセージとかいっさいない!」
というので、
まあ、彼が「一番」というなら、
というわけで、見に行ってきました。


130分、時間も物語もスムーズに流れ、
構成も時間配分も計算されていて、
職人技を感じさせられました。
で、実際、見ている間、おもしろいのです。
映像体験というか、視覚体験というか、
そういう、いわば原初的な「体験」として、
映画館で見るのにふさわしいと言えるのでしょう。

ただ、「意味」については、
「いっさいない」わけではなくて、
(彼がそう言ったのは、
この映画の命は視覚体験にある、
と言いたかったのでしょう。)
まあ、それなりの形はあります。
ただまあ、たしかにそれは「重要」じゃないかも。
この映画は「ヒーローもの」的作りなので、
そもそも「意味(の深化/発見)」は、
メインではないのでしょう。

キャスティングも、
いい意味でベタで、
ルックスの印象とキャラの一致具合がすごいです。
(エド・ハリスだけは、さすがに歳取ったなあ、
と思ってしまいましたが。)

スッキリした熟達のヒーローものを見るという意味では、
なかなかの作品だと思います。
やっぱり、見るなら映画館、かな。