2022年6月1日水曜日

『007 No time to die』

を見てみたんですが、
Mmm...
あまりおもしろくありませんでした。
リズムがユルイし、
ダニエル・クレイグがおじいさんで、
とてもレア・セドゥが彼に惚れるなんて思えないし、
ましてや、
彼の子どもを産んで知らせもせず育てているなんて、
ありえない。
古めかしくも「男性」的な幻想ですね。

007の時代は、
やはり終わっていると感じました。

『カサブランカ』

大学院ゼミ、
今日は「名作」の誉れ高い

『カサブランカ』(1942)

です。
監督は、前回の
『汚れた顔の天使』と同じく、
マイケル・カーチスです。
わたしは数十年振り。
院生たちも久々だったり初めてだったり。


舞台はモロッコのカサブランカ。
WWⅡの真っ最中で、
フランスは、ドイツの傀儡ヴィシー政権の下にあります。
いきなりラストの話で恐縮ですが、
地元の警察署長が、
Vichy Water 
と書かれた瓶をゴミ箱に投げ入れ、
さらにそのゴミ箱を蹴っ飛ばす、
というシーンがあります。
むしろ実利主義者に見えるこの公務員でさえ、
周りに人がいなければ、
ヴィシー政権に対してこんな態度だよ、
ということなんでしょう。
とても分かりやすいです。
が、
その分、「ロマン」チックでもありますが。

バーグマンはとてもキレイです。
彼女の役どころは、
オスロから出てきて、
知識人で見かけもいいラズロと出会い、
彼を尊敬し、
それを「愛」と取り違えて結婚する女性であり、
また、
ボガードからは、
Here's looking at you, kid.
(「君の瞳に乾杯」←意訳ですね)
と、幼く見られていると考えられる女性です。
(kid と呼びかけているわけなので。)
たしかにバーグマンは適役にも見えます。
ただ、
院生たちと、
もし今この作品をリメイクするなら、
という話をする中で、
この役にふさわしい女優を検討してみたんですが、
いないんですね、これが。
というのも、
シャーリーズ・セロンやサブリナ・ウアザニは言うに及ばず、
現代女優はみな、
「従順」ではなく、
個人の意思で行動できるペルソナを持っているからです。
マリオン・コティアールなんか合う気もするんですが、
いつか、
隠し持っていた銃を撃ちまくりそうでもあるし。
ノオミ・ラパスだったら、
実は彼女こそレジスタンスのリーダーだった(!)
てなことになりそうです。
現代においてはもう、
バーグマンのような、原節子のような、
「美しく従順な女性」はいない、
というか、いらないのでしょう。
(もちろん、現実の生活においては、
バーグマンだって「従順」ばかりではなかったわけでしょうが。)

2022年5月29日日曜日

「特別授業」無事終了

というわけで、
「特別授業」@上智大学、
無事終了しました。
いろいろ準備をしてくださった方々、
また、暑い中足を運んでくださったみなさま、
Merci beaucoup !
日曜の午前だし、
10~20人くらい?
と思ってたんですが、
50人ほどいらしていただいたようで、
ありがたかったです。

「授業」は、短い映画を見て、
それについてちょこっとコメントして、
フランス語のセリフもちょっと見ていく、
みたいな感じだったわけですが、
ふだんの映画の授業では、
フランス語は(ごくわずかしか)使わないので、
その点はわたしにとっても新鮮、というか、
まあフランス映画なので、
やっぱりやりやすかったです。
verlan が頻出する台本なので、
「フランス語」の授業では使わない言葉が多かったわけですが。
でもまあ、それもおもしろいです。
それも「フランス語」だし。

このフェスティヴァル、
こうして「対面」で実施されるのは3年振りだそうです。
もちろんコロナのせいで中止されていたわけです。
でもやっぱり、こういうのは、
「対面」でするほうがいいですね。

それにしても、
学部卒業から40年(!)、
まったく矢のごとしです……

2022年5月27日金曜日

1-0

というわけで、
ベルーナ・ドームに行ってきました。
実はプレゼントでもらったチケットで、
なんだかとっても見やすい席でした。
すぐ後ろにテレビ・カメラがあって、
帰宅してからDAZNで確認したところ、
席で見ていたのとほぼまったく同じ映像でした。

たとえばこんな感じ。
佐野選手です。



スマホの画像(しかもズームしてます)なので荒いですが。

試合は、エース同士の投げ合いで、
1-0という結果でした。
絵に書いたような投手戦でしたが、
左右なら、
かなり微妙なコースまで席から見えるので、
とてもおもしろかったです。

ライオンズは、
主砲山川が4四球。(でも生還できず)
オグレディは4三振。
ダブル・プレー3つ。
ちょっと元気ありませんでした。

やっぱり、野球観戦はいいですね。

交流戦

日本のプロ野球では、
交流戦が始まっています。
交流戦、わたしは好きです。
新鮮だし、
ふだんはあまり見ないいい選手を発見できるし。
もっと長くやってもいい、と思うくらいです。

スワローズ。
昨日、一昨日と、連続サヨナラ勝ち。
これは、優勝する流れを感じます。
ただし今日は、
自滅する形で負けてしまいました。
今日勝ってたら、
かなりの確率で優勝だと思ってたんですが。
とはいえ、
4点差つけられた10回裏、
1点取って、さらに、
ホームランで同点、というところまでいきました。
ブルペンでは、新しいピッチャーが肩を作り始めるし。
結果的にはそこまででしたが、
ああ、強いチームだな、と感じました。
負けたときの、
選手の表情もいいし。

というわけで、
27日はベルーナ・ドームに行く予定です。
楽しみです!

2022年5月26日木曜日

29日

29日の「特別授業」が近づいてきました。
仏文科のスタッフが、
気を遣って宣伝してくれました。


とはいえ無料のイベントなので、
いわゆる「宣伝」じゃないんですが。

院と合わせて10年いた上智大学でする、初めての授業です。
不思議な感覚です。
そうそう、
一学年下の後輩が、
5人いる副学長の1人であることをさっき知って、
これもやはり不思議な感覚。
あのとき、あれらの授業で、
一緒にボードレールや、ディドロや、ベルナノスを読んでいたのに、
その後輩が今は副学長!
時は流れますねえ……

『キートンの大列車追跡』

大学院ゼミ、
今日はまたサイレント映画、

『キートンの大列車追跡』(1927)

を見てみました。


この映画、
昔見たときの記憶は、
「あまりおもしろくない」
だったのですが、
今日見て、
完全に認識を改めました。
おもしろいです。
(昔見たときは、
もっとチャップリン的なものを期待していたような気がします。
ちゃんと見てませんでした。)

95年も前の作品ですが、
お金もエネルギーも時間もかなり投入されています。
そしてたくさんある危険なシーンも、
ぜんぶ「実写」なわけで、
すごいと思いました。
院生のコメントに従えば、
トーキーになる前の、
つまりセリフを含めた音声が出現する前の時代の、
身体の輝き、というか、
躍動する身体、というか、
そういうものが提示されているのでした。
70分ちょっとだし、
見る価値は十分あると思います。

ただ1点気になったこと。
それは、南軍の兵士希望の男(キートン)が主役であることです。
なぜ、北軍にしなかったのか。
ごく雑に検索しただけでは、
まったく手がかりがありませんでした。
これはもう少し調べてみます。

2022年5月22日日曜日

ドライクラフトコーラ

近所のカルディでたまたま見つけて買ってみたら、
うまいのでびっくりしたのが、
ドライクラフトコーラ。


炭酸で割って飲んだんですが、
これ、たまに行く好きなビストロで出てくる、
自家製ジンジャエールにも似て、
フレッシュなスパイス感がとってもいい感じ。

と思って今検索したら、
半年前くらいにけっこう話題になっていました。
これは…… 完全に乗り遅れてましたが、
まあそれはいいか!

で今日は、また2本買ってしまいました。
指定されたより薄めでも、
わたしは十分でした。

『テルマ&ルイーズ』

ある記事を読んでいたら、

『テルマ&ルイーズ』(1991)

のことが細かく書かれていて、
これも久しぶりに見直しました。
この映画については、当時も、
「よかった!」
と思い、
その後しばらくは、
ジーナ・デイヴィスやスーザン・サランドンの出演作を追っていた記憶があります。
もちろん、リドリー・スコットも。


これは有名作なので今さら書く必要もないと思いますが……
タイトルは『テルマ&ルイーズ』ですが、
本当のヒロインはテルマなんでしょう。
彼女は、支配的で高圧的な夫の抑圧の元で暮らしていました。
で、友人のルイーズと旅行に行く計画を立てたのですが、
どうせ「許可」されるはずもなく、
結局、置き手紙を残して出発します。
で、楽しく羽目を外していたところ、
ある大事件を引き起こし、
警察からの逃走を図ることになり……
という物語です。

物語の始め、
ある問題が起こり、
それが、新たな問題を引き起こし、
また引き起こし……という具合に展開します。
その間観客は、
それぞれの問題を見ているわけですが、
やがて、気づくのです、
テルマとルイーズが戦っているのは、
強大な男性支配社会なんだということに。
男社会のルールに楯突いた二人に、
「支配者」たちは「プライド」をかけて牙をむくのです。

ところで以前、
この映画を見ました。


これは後から、

『マリリン&モナ』

というタイトルで、日本版も出ていることを知りました。
で、すぐにお分かりの通り、
この邦題、
明らかに『テルマ&ルイーズ』を意識しているのでしょう。
そしてそれ自体は、
ほんとうにそうなのです。
今回『テルマ&ルイーズ』を見直して、
ああ、ここまで意識しているのかと、
改めて思いました。
『マリリン&モナ』の原題は
Just like a woman
なんですが、
この a woman て、
もしかしてテルマ?
と思ってしまうほどです。

どちらも、好きな映画です。

2022年5月21日土曜日

大学院、進学相談会

ああ、もっと早く書くべきでした。

今日、5月21日(土曜日)、
総合芸術系(だけじゃないんですが)の、
進学相談会が行なわれます。
総合芸術系がどんなところか知りたい場合は、
お気軽においでください。


今回、個別相談に待機しているのはわたしです。
もちろん、他の先生たちのことも、
分かる範囲でお話しできます。
ちょっとでも興味があったら、お気軽に!

『スタンディング・アップ』

フランスのドラマ、

『スタンディング・アップ』(2022)

を見終わりました。(ネトフリです。)


主人公は、
お笑いを目指す4人。
アフリカ(サブサハラ)系のアイサトゥー、
アルジェリア系のネジル、
ヴェトナム系のブリング、
ヨーロッパ系白人のアポリーヌ、です。
この中で、
アポリーヌだけは、
いい育ちで、高等教育を受けています。
ただ彼女の望みはスタンディングをすることです。
で、残る移民系の3人は、
ブリングの姉が経営する小劇場、ドロールの舞台に立ち、
いつかビッグになることを夢見ています。
そして3人の内の一人は、
実際ブレイクするのです。

このドラマ、
3月18日に配信されて、
わたしも4月始め頃には見始めたはずなんですが、
食休みの時くらいしか見なかったので、
なかなか進みませんでした。
(『リンカーン弁護士』には、あっという間に抜かれたし。)
なぜなのか。
それは明白で、
「ストーリー」が希薄だからです。
日常を横につないでいくようなドラマ作りで、
それはそれでアリだとは思うのですが、
やはり、視聴者をぐいぐい引っ張ってゆくのは難しいでしょう。
そのせいか、
続編は作られないことが発表されてしまいました。


キャラ作りはいいと思うのです。が、
やはり、サスペンスはやや不足していたかも。

2022年5月20日金曜日

「バカにゴミを売りつける。それが王道だ」

言われてみればその通り。
でもなかなか自分で気づけない!
白井聡的<マルクスを通して現実を見る方法>、
いつも魅力的です。




2022年5月19日木曜日

『シン・ウルトラマン』

話題の

『シン・ウルトラマン』

を見てきました。
わたしも子どもの頃「ウルトラマン」を見た世代ですが、
思い入れはまったくなくて、
むしろ、
『シン・ゴジラ』
の記憶との連続性の中で見に行きました。

で、おもしろかったのか?

昨日、アデル・エネルのニュースに触れた後で、
この映画を「おもしろい」というのは、
かなり抵抗があります。
たしかに、
112分、飽きることなく見続けられます。が、
まあ、どうしようもなく性差別的な要素が含まれてもいました。
ヒロイン(長澤まさみ)が、
はっきりと性的な視線に露骨にさらされ、
しかもそれは、自覚的に、確信犯的に行なわれているのです。
わかりやすいセクハラです。

『新エヴァ』でも、
女性たちはそのように描かれていました。
で、不安は的中したと言っておきましょう。

(『シン・ゴジラ』は、まぐれだったんでしょうか?)

そうそう、
ヒロインの使う「女言葉」もまた、
違和感がありました。
パンツではなくスカートのスーツといい、
製作陣は、若い女性に意見を求めなかったのでしょうか?

2022年5月18日水曜日

アデル・エネル、引退!

驚きましたが、
それほど映画界の内情はひどい、
ということなのでしょう。


「面白おかしい話の裏側には、
性差別的で人種差別的な暗い世界が擁護されていた。
脚本にはキャンセルカルチャーや性暴力に関するジョークがあふれていた」

「別の映画」に出る彼女を、
楽しみに待ちたいと思います。
応援しています。

『汚れた顔の天使』

今日の大学院ゼミでは、
マイケル・カーチス監督の

『汚れた顔の天使』(1938)

を見ました。
わたしにとっては、
40年振り? くらいです。


なんといっても強烈なのは、
ジェイムズ・ギャグニーの異彩でしょう。
少しの甘さと、
底知れない凶暴さを合わせたようなその雰囲気は、
ちょっとほかには見当たりません。

ワル仲間だった少年二人は、
あるとき、貨物列車の中にあった万年筆を盗もうとします。が、
見つかって逃げる途中、
一人だけ捕まってしまいます。
それが、後に大物ギャングになるミッキーの、
最初の逮捕でした。
そしてその20年後、
十分大物になったミッキーは、
ある神父を訪ねます。
彼こそは、あのとき逃げおおせた仲間なのです。
それが今では神父になり、
街をうろつく子どもたちの更正に力を注ぐ日々を送っているのでした。
ただし、この子どもたちは、
ギャングのヒーロー、ミッキーに憧れているのです……

実は、ハンフリー・ボガートも出ているので、
その勇姿を見る目的もあったのですが、
ここでは、
ギャグニーに圧倒されて、
やや「ふつう」に見えるのでした。

マイケル・カーチス監督の作品、
他にも見る予定です。

2022年5月17日火曜日

『リンカーン弁護士』

数日前ネトフリを開くと、
まず最初に現れたのがこの

『リンカーン弁護士』(2022)

でした。
その日が配信初日だったのですね。


で、
特に何も考えず、
ちょっと覗いてみたところ、
結局1話見てしまい、
その最後のクレジット部分に

原作 マイクル・コナリー

とあり、
「ああ」
となりました。

実は以前コナリーに入れ込んでいた時期があり、
ボッシュ・シリーズも、
マッケイレブ・シリーズも、
全部読んだのでした。
(彼の文庫は、20冊くらいは読んだような。)
が、その後離れていたので、
この『リンカーン弁護士』のことは知らなかったんですが、
ドラマで見てもたしかに、
コナリーの匂いがするのでした。

でそのまま見続け……
さっき見終わりました。
素晴らしくおもしろい、とまではいかないんですが、
飽きるところはなく、
視聴者を引っ張ってゆく手管は多彩で、
スケールもさまざまで、
さすがの職人芸でした。
コナリーが参加していれば、
悪くても80点は確実に取ってくる感じですね。

2022年5月14日土曜日

『アンタッチャブルズ:ザ・リターン』


2012年に、

『アンタッチャブルズ』

という映画が公開されました。
主演は、
『最強のふたり』でブレイクしたばかりのオマール・シーと、
ローラン・ラフィットのコンビでした。
これです。


あれから10年、
「あのコンビが帰ってきた!」
ということなのでしょう、
ネトフリに

『アンタッチャブルズ:ザ・リターン』(2022)

が登場。
さっそく見てみました。
(ただし原題は、

DE L'AUTRE COTE DU PERIPH
LOIN DU PERIPH

であり、
連続性を感じさせるキーワードは「ペリフ」です。)
また、監督も脚本も音楽も編集も交代しています。
監督は『ルパン』シリーズのルイ・ルテリエ。)


まあ、言ってしまえば、
限りなくB級的な映画です。
キャラ設定は前作のままで、
女性に弱いウスマン(シー)と、
高慢で自己愛(auto-kiffe)の強いフランソワ(ラフィット)です。
で、今回は、
事件を追う二人は、アルプス地方へ出かけていきます。

(映画の冒頭に映し出されるのは、
まぎれもなくクレテイユのイコン、「レ・シュー」、
カリフラワーの形をした団地です。
お、クレテイユ映画来たか!
と思いましたが、
これは導入部分だけでした。)

そしてその出かけた先が、
「愛国者」が多い地域だという設定で、
となるとウスマンは、
さまざまな差別の対象となってゆきます。
(もちろん彼は言い返します。)

そしてヒロイン的に登場するのが、
地元の警官であるアリス。
彼女を演じるのは、
『サンバ』で法律のインターンを演じていたイジア・イジュラン。
大人っぽくなっています。
(まあ、10年経ってるので。)

飽きることなく、最後まで見ましたが、
まあ、どうと言うことはない映画です。
ヒーローものらしく、
ヒーローの価値観は最初から最後まで一定で、
特に「変化」を遂げる人物もおらず、
発生した「事件」を片付ける、という構造です。
セリフ回しで面白くしようとしているのですが、
こちらのフランス語力が足りないせいか、
ギャグがいまいちピンと来ませんでした。

ヤスミン役のサブリナ・ウアザニが一瞬だけ出てきます。
元気そうでよかったです。

2022年5月12日木曜日

ショック!

1年半ほど前、
眼底出血して、
1ヶ月ほどテニスを休まざるを得なかったことがありました。
あの時は右目だったんですが、
今度は左目で飛蚊が発生したので、
眼科に行ってみたところ、
なんと前回と同じことが起きていました。
しかも、出血の量が倍ある(!)と。
たしかに前回より飛蚊が多いです。
そして、
ショックなのは、
テニスが1ヶ月できないこと。
これはまいった!

今右目は問題ないのですが、
実は、以前の血液の「殻」が残っているそうです。
でもそれは、赤味が抜けているので、
ふだんはまったく気になりません。
今左目は、かなりゴミっぽいですが、
やはり赤味が抜ければ問題なくなる、と思いたいところです。
(医者は、ちょっとネガティブな感じの人で、
今回は出血の量が多いから、
当然「殻」も多く残り、
多少飛蚊が残るかも、
とは言ってましたが、
なんとなく大丈夫な気がします。)

さっき、
1ヶ月テニスお休みの手続きをしました。
しょうがないですね。
1ヶ月後に復帰できることを祈ることにします。

『暗黒街の弾痕』

フリッツ・ラングの代表作の1本、

『暗黒街の弾痕』(1937)

を、大学院のゼミで見てみました。


院生の一人はラングのファンで、
全作品をDVDで揃え、
この映画のこの部分、
という感じで、
よく見ているそうです。

わたしは中学生の頃、
友だちとテアトル新宿に行って、
この映画と『歴史は夜作られる』の2本立てを見ました。
このことは、
なぜかとてもよく覚えています。
『暗黒街の弾痕』の原題は、

You only live once

ですが、この映画が中学生には新鮮でした。
特に once が。

例の院生の説明によれば、
なにかこう、
よんどころない歯車に絡め取られていく感じがラングにはあるということなんですが、
once というのは、
それと見合っている気もします。

途中で殺されるのが神父であり、
その後赤ちゃんが誕生する場面はどことなくキリスト生誕を思わせました。
神なき世界での新たな「神」の誕生、
と言えば大げさでしょうか?

2022年5月9日月曜日

『俺達の唄』『My Life』

今日、日本のヒップホップが好きだという3年生と話していて、
好きになったきっかけの曲、
を教えてもらいました。
これです。


高校時代はぜんぜん勉強しなくて、
浪人時代、
この期間だけは勉強しようと決めて、
友だちも作らずに予備校の自習室に籠もった日々に、
この曲と出会い、
ガーン、と来たそうです。

まれたこと自体に意味なんてない
けどもし欲しいんならば付けちゃいな

なるほど。
若いときに聞いたら、ぐっとくるかもですね。

それからこの曲。


Mmm、なかなかいいです。

どちらの曲も、
「人生」とか「生きること」がテーマになってて、
いい意味で古めかしくて、
とても親近感を覚えました。

2022年5月8日日曜日

『暗黒街』

アメリカ映画協会は、2008年に、
ジャンル別の
「アメリカ映画 オールタイム・ベスト10」
を発表しています。
これです。


1位はまあ、『ゴッドファーザー』で文句なしでしょう。
そのほかにも、
『スカーフェイス』とか、
『白熱』とか、
お馴染みの顔ぶれです。
(わたしは、Little Caesar だけ見ていません。)
ここに挙がっている中で戦前のもの、
ぼちぼちもう一度見ていこうと思いますが、
その前に、
このベスト10にノミネートされながら、
結局入選しなかった映画を1本見てみました。
ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の、

『暗黒街』(1927)

です。
サイレント映画です。


主な登場人物は4人。
ギャングのボスであるブル。
その愛人であるフェザーズ(←いつも羽根付きの服を着ている)
元弁護士で、今は飲んだくれのロールス・ロイス(!)。
ブルのライバルであるバックです。
ロールスがバックにいたぶられていたとき、
ブルが気まぐれに助け、大金を与えます。
立ち直ったロールスは、
ブルに恩義を感じますが、
一方、ロールスとフェザーズは惹かれ合います。
その後ブルが、フェザーズを助けるためにバックを殺し、
そのせいで死刑を宣告されたとき、
ロールスとフェザーズは、
二人で逃げるか、
恩義あるブルを助けるかで迷いますが……

この作品、英語版の wiki によれば、
デュヴィヴィエはカルネは、
この映画の「余分なものがなく、簡素な」作りに深く影響され、
ブニュエルのお気に入りの作品でもあった、そうです。
(何度も登場するブルの強烈な笑顔は、
たしかにブニュエル的な異様さを感じました。
ブニュエルの『アンダルシアの犬』は、
『暗黒街』の2年後です。)

戦前のアメリカ映画、おもしろいです。

「トップスピン・プロ」

前から欲しかったんですが、
値段が高くて迷っていたテニス練習器具、
「トップスピン・プロ」。
GW にどこにも行かなかった代わりに、
ついに買ってしまいました。


まだ数時間しか使っていませんが、
なかなか楽しい。
部屋のかなでできて、
意外に静かなので、
これは毎日やりそうです!

2022年5月5日木曜日

『ハミルトン』

2015年の初公演以来すご~く話題になり、
2020年には舞台を映した映画までできた、

『ハミルトン』

実はわたしの「見る予定リスト」には入っていなかったんですが、
院生の一人に「すごくいい!」と教えられたので、
Disney+ でその映画版を見てみました。
結論から言うと、圧倒的に素晴らしかったです。
大ヒットするのがよく分かりました。


主人公は、
「アメリカ建国の父」たちの中では、
一番地味だと言われるアレクサンダー・ハミルトン。
(10ドル札の人です。)
彼は、アメリカ独立戦争の時には、
ジョージ・ワシントンの副官で、
合衆国憲法を実際に書いた人間であり、
アメリカ初代の財務長官でした。
が、彼の「出自」は、
ほかの「建国の父」たちのようなエリートとはまったく違い、
スコットランド系とはいえカリブ生まれで、
しかも母親は「売女」で、
12歳の頃には孤児となりました。
ただ、きわめて優秀で、
周囲の助けでアメリカ本土に渡り、
その知力と野心でのし上がっていった人です。

このミュージカル、
(今さら書くのも気が引けますが)
キャストはなんと非白人です。
ハミルトン役はヒスパニック系、
その妻はアジア系、
妻の姉(←彼女を演じる俳優が素晴らしい)はアフリカ系……
この演出は、
ハミルトンという人物が「移民」であり、
またいわゆる「移民性」を色濃く背負った人物であるという事実から、
インスピレーションを受けたものなんだそうです。
そしてそのことは、
とてもよく伝わってきます。

ミュージカルの中でのハミルトンは、
決して単なる善人でも、ヒーローでもありません。
野心家で、妻を、その家族を悲しませ、
自己中心的なところも強烈にあります。
でも、それでも、
「建国」の意志もまた強いわけです。
そしてこのミュージカルの美点は、
そのなかに、混沌や、闘争、不条理などが描きこまれ、
それはまるで、
「現代」の源流であるかのようなのです。
この理解の仕方は、とても魅力的だと感じました。
いまだ解決にはほど遠く、
それはこれからも続くのであり、
それが、「アメリカ」を作ることなのだ、
という意味なのでしょう。

特に印象に残った歌が YouTube にありました。


(一点、少しだけ気になったのが、
女性たちの位置づけです。
彼女たちは、健気で強く美しいのですが、
みんな、男たちの「背景」なのです。
建国の母たち、
の物語もあるはずなので、
それも見たいところです。)

2022年5月3日火曜日

5月29日(日)

今の状況だと、
たぶん中止になることはないと思うんですが、
その可能性も少しはあるという前提で。

来る5月29日、
上智大学(←出身大学です)では、
「オール・ソフィアンズ・デー」が開催されるんですが、
その、あまたあるイベントの1つとして、
わたしも「特別授業」をすることになっています。
(『パリ、ジュテーム』の「セーヌ河岸」を見て、
解説&部分的にフランス語も、という予定です。)
上智の卒業生だけでなく、どなたでも参加できます。

時間は 11:00~12:30
教室は 12-202 

これって、
12号館の 202、ということだと思います。(たぶん!)
教室の定員は 105名なんですが、
どのくらい混むのか混まないのか、予想がつきません。
まあ午前中だし、そんなに混まない or ガラガラだと思うんですが、
一応「フランス文学科」の主催なので、
フランス語に興味のある人は多いわけで、
そこそこ混むのかもしれず……

中途半端ですみませんが、
もしよろしければ!

『カーズ』(!)

映画のゼミで「分析」の方法を説明するとき、
何か役に立つかな? と思って、
あまりふだん読むことがない本を買ってみました。
この本です。

『キャラクターからつくる物語創作再入門』

アマゾンの紹介が、
かなり詳しいです。


説明の題材として、
映画もかなり挙がっていました。
言ってることは分かりやすくて、
たしかに「ハリウッド映画」なら、
当てはまる作品がいくつもありそう。
で、その代表の1つが、

『カーズ』(2006)

だったので、
久しぶりに見てしまいました。


やっぱりとても分かりやすくて、
1本見た後でも、
頭がほとんど疲れていないという、
珍しい現象が起こりました。
これは伏線、
と明らかに分かる箇所がいくつもあり、
ちゃんと回収されるのでスッキリします。
構造を理解するには、
こういう映画を題材にするといいかもしれないと思いました。

現国の問題(小説の場合)でも、
映画や小説(ベタな場合)でも、
基本は、

1)主人公(たち)がある状態にある
2)事件が起こる
3)主人公(たち)の考え(生き方)や状況に変化が起こる

という流れなので、
まあ受験の場合は、
これは知っておいた方がいいのでしょう。
変化が起きるポイントに注目して、
その前と後の違いを考えればいいわけですね。
『カーズ』の場合も、

1)マックイーンは、「勝つこと」に至上の価値を見出している
2)たまたま田舎町に入りこみ、そこに留め置かれる。
 (そして、かつてのチャンピオン、
  弁護士としてのキャリアより暖かい暮らしを選んだ女性、
  主人公を「友だち」だと思ってくれるサビだらけのクルマ、
  などと交流する。)
3)マックイーンは、「仲間」こそが価値だと悟る

という感じ。
ベタだし、深みはありませんが、
かっちりとできてるのは確かですね。

2022年5月2日月曜日

『ジャッキー・ブラウン』


というわけで、
タランティーノがパム・グリアを起用した

『ジャッキー・ブラウン』(1997)


を見てみました。
この映画は、公開当時、期待を持って見ました。
その頃タランティーノは、
今よりずっと「期待」されていたと思います。
(もちろん今でもファンは多いのでしょうが。)
で、当時見て、そんなに感心しませんでした。
もっと何か「ふつうじゃないもの」を期待していたからです。
今回見て、
十分おもしろかったですが、
やはり「ふつう」の映画には見えました。

オディールは銃の密売で金を儲け、
その金を、
弱小航空会社の「スチュワーデス」(←当時の言い方)であるジャッキーに、
国外に運び出してもらっています。
けれども、警察にマークされていたジャッキーは捕まり、
そこから物語が動き始めます。
ジャッキーは、
保釈金貸し付け業者のマックスと手を組んで、
オディールや仲間たち、
そして警察をも出し抜こうとするのです……

ここでパム・グリア演じるジャッキーは、
変わらぬ魅力的なルックスと、
『フォクシー・ブラウン』時代とは違うスマートな頭脳を持っています。
ただしその分、
感情にまかせた勢いある行動は影を潜め、
それが、まあわたしには、
ちょっと物足りない感じもしました。
(で、「ふつう」になってしまうわけです。)

この映画内で何度かかかるデルフォニックスの歌があります。
これです。


実は最近、シルク・ソニックのCDをクルマで聞いています。
なので、このデルフォニックスの1969年の歌が、
なにか「最近」ぽく聞こえてしまいます。
もちろんシルク・ソニックは、60年代そのまんま、じゃないですが。

ところでこの映画の中では、
なんと38回も nigger という語が使われているそうで、
たとえばスパイク・リーもそれを批判的に指摘しています。
まあ、映画とはいえ、
97年にそれをやるのは、
もちろんダメだったでしょう。
それを敢えてやった監督は、
ちょっと中二的な印象も?

パム・グリアの作品、
もっと見たいんですが、
日本版は少ないですねえ……

Citizen Queen

さっき、YouTube 散歩中に出会ったガールズ・グループ、
Citizen Queen。
もともと名曲なんですけど、
これ、途中で「アレ?」と思って、
それから注意して見てると、
やっぱりアカペラでした。
両端の女性はヴォイパなんですね。


Super !

2022年4月30日土曜日

『ヒズ・ガール・フライデー』


ハワード・ホークス第4弾として、

『ヒズ・ガール・フライデー』(1940)

を見てみました。(アマプラ)
1940、ということは、
WWⅡのさなかに公開されたわけで、
実際セリフの中にも、
ヨーロッパでの戦火に言及する場面があります。
主演は『赤ちゃん教育』のケーリー・グラントと、
ロザリンド・ラッセルです。


新聞社のやり手編集長ウォルターと、
敏腕女性記者のヒルディは離婚したばかり。
仕事一辺倒の生活に嫌気が差したヒルディは、
「ふつう」の男ブルースと婚約し、
田舎に引っ込む予定です。
で、その出発の直前、
ヒルディはブルースとともに元夫に挨拶に立ち寄りますが、
それはちょうど、
ある「犯人」の死刑が執行されるかどうかで、
新聞社が騒然としている真っ最中でした。
ヒルディたちはさっさと発とうとしますが、
ウォーターはあの手この手でヒルディを引き留め、
彼女の中の、記者魂を再び燃え上がらせようと画策します。
そして……、彼の作戦は成功。
あわれブルースは母親と田舎に向かい、
ウォルターとヒルディはよりを戻すのでした。

と、ラストまで書いてしまいましたが、
これは見始めてすぐ予想のつく展開です。
この映画の見所は、このベタなオチではなく、
そこに至る過程での、
ヒルディとウォルターを中心とした生きのいい会話にある、
ということになっていて、
まあたしかにそうでした。
いわゆる「スクリューボール・コメディ」の代表作であり、
「スクリューボール・コメディ」がどんなものか、
よく感じられる作品です。

ただ、ベタであるとはいえ、
このストーリーにはやや違和感もあります。
ヒルディは、ずっとウォルターを拒絶していたのに、
最後にはよりを戻す決心をします。
(ブルースはとても哀れで可哀想すが、
まあ、これは仕方ないとしましょう。)
ただ、その瞬間、
ウォルターは彼女に、
ブルースの後を追うように言うのです。
で、ヒルディは泣く。
せっかくよりを戻そうと思ったのに、というわけです。
Mmm...  ブルースへの憐憫はほとんどないのに、
ここで泣かれても…… という感じ。
またウォルターのこの態度も、
ここまでの卑怯なやり口も、
やはり違和感があります。
まあコメディーなのにそんなこと言わなくても、
という意見もあるでしょうが、
ちょっと乗り切れない部分はありました。

ところで、タイトルにある「フライデー」は、
ロビンソン・クルーソーに出てくるあのキャラで、
となるとこのタイトルのニュアンスは、
「フライデー」みたいに従順な「彼の女」、
という感じになるのでしょう。
となると……、どうでしょう、
ここにも少し違和感が出てきます。
ヒルディは、きわめて有能な記者で、
自立した女性に見えるのですが、
最後は結局、ウォルターのもとに戻り、
彼が思い描いていたような流れに収まってしまいます。
このあたりを「フライデー」的だというのでしょうが、
それはまったく男性中心主義で、
ヒルディは「男性的ファンタスム」の具現化、ということになります。
そして実際、
こうした女性を「ホークス的女性」とする指摘もあるようです。
となると、「男」たちは見て楽しいでしょうが、
当然大いに問題もあるということになりますね。

ちなみに、このロザリンド・ラッセルという主演女優、
美人なので言いにくいんですが、
なんとなく、
わたしが子どもの頃亡くなった母親を思い出しました。
笑った感じとか、似てるなあと……
こんなこと思うの、
珍しいんですけどね。

そしてゴダールは、『アワーミュージック』の中で、
映画製作について説明する際、
この『ヒズ・ガール・フライデー』のグラントとラッセルの写真を使っています。

『コフィー』

昨日見た『フォクシー・ブラウン』(1974)と並ぶ、
パム・グリアの代表作、

『コフィー』(1973)

を見てみました。
脚本・監督は、両作ともジャック・ヒルです。


ヒロイン(当然パム・グリア)は看護師です。
彼女には有力政治家の恋人(黒人)がいますが、
幼なじみである誠実な警官(黒人)にも求愛されています。
(彼は、不正に手を貸すことを拒み、殺されてしまいます。)
ただ彼女には、
まだ11歳の妹がいて、
彼女は麻薬中毒で入院中なのです。
離れて暮らしている間妹に仕送りしていたのですが、
ワルがたかり、
妹を中毒にして利用していたのです。
そして物語は、
妹と幼なじみの復讐のため、
コフィーが立ち上がるところから動き始めます……

『フォクシー・ブラウン』と『コフィー』はよく似ています。
ポイントは、
ヒロインの個人的な報復が、
社会的な報復の暗喩になっている点でしょう。
そしてその「社会」とは、
白人が黒人を搾取する「社会」です。
両作とも、
麻薬組織を実質的に牛耳っているのは白人で、
そこに群がる黒人もいるわけです。
『フォクシー・ブラウン』では、
フォクシーの兄がその典型でした。
『コフィー』では、
これはコフィーの恋人です。
彼は黒人でありながら、
そして政治家として黒人の権利を主張しながら、
実際には白人麻薬組織と結託しており、
最後は、コフィーに撃たれます。

で……

『フォクシー・ブラウン』についての批判は、
ほぼそのままこの作品にも当てはまるようです。
それは問題点でしょう。

そしてパム・グリアですが、
彼女の顔は、
典型的なアフリカ系アメリカ人のそれには見えません。
彼女は、あるインタヴューでこう言っていました。

"People see me as a strong black figure, and I'm proud of that," 
 "But I'm a mix of several races: 
Hispanic, Chinese, Filipino. 
My dad was black, and my mom was Cheyenne Indian."


ヒスパニック、中国、フィリピンの血を引き、
父親は黒人、
母親はシャイアン族、
というわけですね。
なるほど。

まあとにかく、
この2022年に見ても、
なかなかかっこいいヒロインなのは確かです。
(そうじゃなきゃ、こんなに調べないし!)

それからこれは蛇足ですが、
『フォクシー・ブラウン』にも『コフィー』にも、
レスビアンたちが登場していました。
単純なことですが、
ある新鮮さも感じられました。

2022年4月29日金曜日

『フォクシー・ブラウン』

というわけで、
1970年代黒人「強い女性」映画、
まずは、

『フォクシー・ブラウン』(1974)

を見てみました。
(1974というのは、
『ゴッドファーザーPARTⅡ』の公開年でもあります。
あの頃なんですね。)


これは後年、
タランティーノが
『ジャッキー・ブラウン』
を撮ることになる切っ掛けとなった映画です。

ヒロインであるフォクシー・ブラウン(パム・グリア)は警察官。
アフリカ系である恋人ダルトンは麻薬捜査官で、
2年間の潜入捜査で組織の実態をつかんだものの、
陪審員が買収され組織は無罪に。
ダルトンは報復を恐れ、
警察の庇護の元整形手術を受けますが、
それを見破って組織に密告したのは、
なんとフォクシーの実の兄でした。
この兄は、麻薬密売の末端で仕事をする、
いわゆるダメ人間でした。
そしてダルトンは組織に殺されてしまいます。
復讐を誓い、
兄を脅し組織の状況を聞き出したフォクシーは、
街の自衛団の協力を取り付け、
(というのも警察は信用できないからです)
ついに組織に立ち向かうのです……。

民族的な勢力図で言うと、
まず、麻薬組織の上層部は全員白人で、
トップは女性キャサリン、
その「所有物」である恋人男性スティーヴが、
殺人もいとわない実働部隊のリーダーです。
そしてこの組織の「客」は、
街の黒人コミュニティであり、
ここに鋭い民族的対立があります。
街の自警団(全員黒人)も、
これは、麻薬を通した「第二の奴隷制度」だと指摘します。
(現代でも、悪名高いオピオイドを庶民に売り、
上層部は彼らの「生き血」を吸っている、という風にも考えられます。
似てます。)
ちなみに警察組織は、基本的に白人が多いですが、
黒人たちもたしかに含まれています。

一人、やや特殊な立ち位置なのが、
フォクシーの兄です。
彼は黒人で、白人の恋人を持ち、
白人組織の手下として、
主に黒人相手の麻薬の売人をしています。
そして彼は、
妹の恋人(黒人)を白人組織に売り、
その白人組織に殺されます。
つまり彼は、どちらのコミュニティにも近寄りながら、
本当には、どちらにも属せなかった人です。
アイデンティティーに最も大きな困難を抱えていたのは、
この兄かもしれません。

<以下、ネタバレします>

組織に立ち向かったフォクシーは、
キャサリンが一番大事にしているもの=スティーヴ、を、
痛めつけることで、
キャサリンにも喪失の痛みを味わわせようと企みます。
そして、ついに自警団とともにスティーヴを捕らえたフォクシーは、
スティーヴの急所をナイフで切り取らせ、
それを瓶詰めにして、
キャサリンに「プレゼント」するのです。
ストーリー上、これは個人的な復讐なわけですが、
当然、黒人社会による、
白人男性的な搾取に対する去勢行為だと言えるでしょう。
それは同時に、白人女性への処罰でもあるわけです。
そしてやはり、この映画の新しさは、
男性ばかりの自警団と協力し、
白人的搾取=悪、に罰を与えるのが、
フォクシー=黒人女性だという点にあるのでしょう。

ただ、wiki の英語版には、
この映画に対する批判も紹介されていました。
(出典もあるので、一応信用できそうです。まだ確認してませんが。)
いわく、黒人女性像が混乱を招くものになっている、
黒人社会における暴力と麻薬の摂取というステレオタイプを用いている、
というわけです。
とりわけ後者については、
せっかく黒人社会がそうしてことから脱皮しようとしているのに、
古いステレオタイプを持ち出すのはよろしくない、ということのようです。
また、パム・グリア演じるフォクシーは、
ヒロインでありながら、娼婦に扮したり、
ワルモノに捕らえられている時にも裸体がのぞいたりと、
およそ「期待されるヒロイン像」とは違っていて、
これは黒人女性の「物」化というステレオタイプをなぞっていることになる、
という指摘もあります。
これらの指摘は、どれも「一理ある」と感じます。
特に、ヒロイン像云々のところは、
どれほどフォクシーがかっこよくて革新的でも、
否定できないものがあります。
現代風に言えば、消費的、ということになるのでしょう。

とはいえ、
このフォクシー・ブラウンが新しいヒロインであることは、
やはり間違いないのだと思います。

2022年4月28日木曜日

1970年代、黒人ヒロインたち

発行が2015年で、
わたしが最初に読んだのもその頃なんですが、
こんな本があります。

『アメリカ映画に見る黒人ステレオタイプ』(赤尾千波)

これは、評論と言うより、
むしろ「教科書」のような構成になっている本なんですが、
アメリカ映画に詳しくないわたしとしては、
当時、いろいろ勉強しながら読みました。
で、
今回の大学院ゼミの初回に『国民の創世』を見た時に、
この本のことを思い出しました。
『国民の創世』には、「黒人ステレオタイプ」が勢揃いしているからです。
というわけで、院生たちにも読んでもらいました。

わたしも、復習を兼ねて読んだわけですが、
今回特に気になった部分は、
1970年代の、黒人女性ヒロインたちのことです。
彼女らは、「強い女」の原型の1つのようなのです。
(『エイリアン』のシガニー・ウィーバーは1979年なので、
その前、ということになります。)
この本に書いていることを総合すると、
この女性ヒロインたちは、
2つの流れの合流地点に出現したようです。
まず彼女らは、
1970年代のいわゆるブラクスプロイテーション映画のヒーローたちの、
「女性版」という側面がありました。
(ヘイズ・コード(1934~1968)のせいで、
「バック」や「ムラトー」というステレオタイプは消失していたわけですが、
この70年代に、「バック」のよみがえりとして、
ブラクスプロイテーションのヒーローたちが出現したそうです。)
そして第二に彼女らは、
かつての「マミー」、
そして「マミー」の一部分が強調された、
夫を叱り飛ばす強い妻「サファイア」、
などの系譜の中で登場した、というわけです。
おもしろいですね。

2022年4月27日水曜日

マクロン再選

大方の予想通り、マクロンが再選されました。
またこれも大方の予想通り、
ル・ペンの得票はかなり伸びました。

フランスのいわゆる識者たちは、
二極化したフランス、を指摘します。
ただこれは新しいことではなく、
そう、fracture sociale 
(社会的亀裂。最近は、社会的分断、と訳されてもいます。)
という表現が登場した2000年頃からのことのように思えます。
要は、
グローバリズムの恩恵を受けている層と、
受けていない層、
ということなのでしょう。
これは、トランプが出現した時にも言われたし、
ブレグジットの時も言われました。

ただ、いや二極じゃなくて三極だ、という指摘もあります。
それは、
マクロン的な「文化左派&経済右派(≒ネオリベ、グローバリスト)」、
ル・ペン的は「文化右派&経済左派」、
メランション的な「文化も経済も左派」、
だと考えられるでしょう。
これらそれぞれの中心的支持層は、
(もちろんやや雑なくくりですが)
都市の、高学歴・高所得の管理職、
地方の、低学歴・低所得のワーキング・クラス、
都市の、高学歴だが所得は必ずしも高くない層、
という風に考えられるでしょう。

おもしろい(?)のは、
フランスの「極」には含まれないもう一極、つまり
「文化も経済も右派」
というのが、
東洋の日出ずる島国で跋扈していることです。
どうしちゃったんでしょう?

で、
こんな話を院生としていたら、
「でも、そもそも日本のナショナル・アイデンティティーって……?」
という疑問が提出されました。
「その足がかりとして、
フランスならフランス革命があり、
アメリカならメイフラワー号、独立戦争、公民権運動なんかがあるけど、
日本は、明治維新? 終戦? 天照大神?」
なるほどな疑問です。
(もちろん背景には、
フィクションである「国家」は、
その下支えに物語を必要とするという事情があるでしょう。)
ただそもそも日本では、
ナショナル・アイデンティティーという概念自体、
広く共有されているとは言えない気がします。
まずそこからなんでしょうけど、
ここをあまりつつくと、
根拠なき妄想が振り回されそうなので、
それもまた心配……

『我が輩はカモである』

マルクス兄弟の映画は、
かなり昔ですが、
けっこうたくさん見ました。
で、院のゼミの2本目は、

『吾輩はカモである』(1933)

です。


2つの国があり、
その一方の首相にグルーチョが就任し、
まあいつも通りの破壊的な言動を繰り出せば、
そこにもう一方の国から、スパイ二人(チコとハーポ)が送り込まれます。
グルーチョの弱みを探り、
その国を乗っ取ろうというわけです。
ところが!
グルーチョはこのスパイたちを気に入り、
要職に就けると言い出します。
で、結局……
2つの国は戦争(!)を始めるのでした。

1933といえば、
もうナチが台頭し始めている時期で、
この映画には、
開戦に向かう無駄にマッチョな体質を、
これでもかとおちょくっています。
ただ、それに限らず、
とにかく手当たり次第破壊するので、
もう、国歌の話しなのに、
全体の雰囲気はかなりアナーキーです。
いわゆる「人情」のほうに逃げずに、
ここまで破壊的なのは、
さすがと言うべきなのでしょう。

『雀』

今年の大学院ゼミは水曜日。
というわけで今日は、

『雀』(1926)

を見ました。
メアリー・ピックフォードの代表作とされている作品で、
33歳の彼女が、13歳の少女を演じています。
サイレント映画です。


これは、現代風にいえば、
人身売買と誘拐の物語です。が、
全体のトーンはいかにも「お話」的で、
現実的な厳しさはほとんどありません。
孤児たちを集め、彼らを売ることで儲けを企む夫婦。
彼らの農場は、底なし沼に囲まれていて、
子どもたちは容易に逃げ出せません。
また同時に、この夫婦の夫は、
ある誘拐を請け負います。
富豪の赤ん坊です。
で、
自分たちに大きな危険が迫っていることを察知した孤児たちは、
リーダーである少女モリー(メアリー)のもと、
ついに農園を逃げ出します。
底なし沼はなんとか切り抜けたものの、
その後の森には、
ワニのいる水辺が待っていました……

解説の淀川さんによると、
この映画、「ディズニーの教科書」なんだそうです。
そう思ってみると、たしかに、
前半のコミカルな喧嘩
(投げたものが顔に当たると、真っ黒になる)
とか、
後半の逃走劇の中の、
ワニがうようよいる中、
木の枝を伝って逃げていくとか、
たしかにすごくディズニー的なのでした。
院生が指摘したのは、
誘拐された赤ん坊が、
その他の仲間と無事帰還するという構成は、
『101匹ワンチャン』を思わせる、とのことでした。

この映画初めて見たのですが、
ほんとにまだまだ勉強すべきことが多いのを痛感しました。

2022年4月23日土曜日

"choisir entre la peste et le choléra"

フランス大統領選挙、近づいてきました。

ニュースなどの街頭インタヴューを見ていると、
何人もの人が、

 "choisir entre la peste et le choléra"

と答えていました。
ペストかコレラ、どちらを選ぶのか。
まあ、かなり強烈な表現に聞こえますが、
今回のような政治的場面では、
わりと耳にする表現です。
日本でも、選挙の時には、
そう言いたくなることがしばしばあります。

で、
一次投票で3位だったメランション候補は、
大方の予想を大きく超えて、
22%も得票を得ました。
となると誰が考えても、
この票がどちらに流れるか、が大問題です。
メランション候補自身は、
一票たりとも右派には渡さない、
と言っていましたが、
実際には、ル・ペン候補に流れる票は相当あるのでしょう。

彼女については、
いまだに日本のメディアでは、
「極右」というレッテルとともに紹介されています。
ガーディアンは、たとえば安倍政権のことを、
いつでも「極右」と言っていたのが思い出されますが、
それとこれとは事情が違います。
ル・ペン候補は、
「極右」では政権が取れないことをよく理解しています。
なのでここ数年は、
なんというか、ふつうの右派に切り替えています。
移民政策についても、
極端なことは言わなくなりました。
(もちろん、もしも当選したら、
すぐに「極右」に戻る可能性もあるわけですが。)

ただ、マクロンは必ずしも左派ではない。
彼は、文化左派ですが、経済右派です。
ル・ペンはまさに逆で、文化右派で、経済左派。
経済を考えてメランション候補に入れた人が、
経済を優先して考えれば、
ル・ペンに入れることは十分考えられます。

そして……

今のル・ペンを見ていると、
むしろ最初に浮かぶのは、
「国家主義」という言葉です。
トランプと同様、
彼女はフランス・ファーストなのであり、
グローバリスト・マクロンとは、
そこが決定的な違いに感じられます。
(ロシアとウクライナの戦争も、
そういう次元が含まれていそうです。)
そしてル・ペンが勝てば、
フランスとヨーロッパの関係は激変するでしょう。
EUの専門家たちによれば、
それは、ウクライナの戦線にも、
大きな影響を与えることになると。

やっぱり、
(フランス国民じゃないわたしが言うのも変ですが、)
わたしならメランションに入れたいところです。

2022年4月22日金曜日

『赤ちゃん教育』

ハワード・ホークス第3弾、

『赤ちゃん教育』(1938)

を見てみました。
主演は、キャサリン・ヘプバーンと、
ケイリー・グラントです。


恐竜を専門とする学者(グラント)と、
富豪の叔母を持つ気ままな女性(ヘプバーン)との、
ドタバタ恋愛劇、というところでしょうか。
世に言う、スクリューボール・コメディーです。
そして原題は、

Bringing Up Baby

なんですが、ここで言う Baby は、
ヒロインの叔母がプレゼントされた豹(!)の子どものことです。
ただ子の豹が、あやまってヒロインの元に送られて、
しかも豹が逃げ出してしまったため、
大きな騒動に発展していくわけです。
人間の「赤ちゃん」は出てきません。

『教授と美女』も、
『ヒット・パレード』も、
今回の『赤ちゃん教育』も、
たしかに同じ肌触りがあります。
見ていて、軽快で楽しいのです。
そこにいわゆる「深み」はないし、
たとえば『赤ちゃん教育』について言えば、
富豪の娘と学者の「恋」であり、
そこに「社会」に対する視線は感じられません。
感じられませんが、
ハワード・ホークスはそれを目指してはいなかっただろうし、
映画自体はおもしろいのです。
どう評価しようかな、
という感じです。

とても雑な言い方ですが、
彼はいわば、直木賞を取るようなタイプなのでしょう。
でも直木賞なら、
何度も取りそうな感じがします。
(実際の直木賞は、一度だけですけど。)

ちなみに、
AFI が1999に発表した「アメリカ人俳優ランキング」では、
キャサリン・ヘプバーンが女優の1位、
ケイリー・グラントが男優の2位になっています。


2022年4月19日火曜日

『ヒット・パレード』

ハワード・ホークス第2弾、

『ヒット・パレード』(1948)

を見てみました。(アマプラです。)
この作品は、昨日見た『教授と美女』のリメイクです。
(セルフ・リメイク、という感じでしょうか?)


物語は基本的に同じです。
違っているのは、まず教授たちの数。
『教授と美女』では8人でしたが、
(それは、王子+7人のこびと、だったわけですが)
今回は7人で、
ヒロインと恋に落ちる教授(ダニー・ケイ)も、
「7人の小人」の一人です。
この変更に、深い意味があるのかどうかははっきりしません。
(たぶん、深い意味はないのでしょう。
『教授』のほうが、『白雪姫』との整合性は高いです。)
そしてもう一つの違いは、
教授たちが、ふつうの百科辞典を編纂しているのではなく、
音楽全般についての辞典を作ろうとしているところです。
で、
この映画全体が、いわゆる音楽映画にもなっていて、
それを支えるべく多くの大物ミュージシャンが出演しています。
ルイ・アームストロング、
ベニー・グッドマン、
トミー・ドーシー、
ライオネル・ハンプトン……

楽しい映画です。
深いテーマとかはないですが、
演奏場面はどれもいい感じだし、
セリフのテンポなどもよく、
映画に勢いがあります。

ヒロインを演じたヴァージニア・メイヨ。
調べてみたら、彼女は、
ダニー・ケイとの共演が多いんですね。

で、じゃあ『教授と美女』とどちらがいいかと言われたら……
まあ、両方いい、というのが答えでしょう!

2022年4月18日月曜日

『教授と美女』

ハワード・ホークスの作品を少しまとめて見ようと思い、
最初に見たのが、

『教授と美女』(1941)

です。
これは、『白雪姫』の大人版、ということでもあるというのですが……


原作は、あのビリー・ワイルダーとトーマス・モンロー。
脚本は、ビリー・ワイルダーとチャールズ・ブラケットという黄金コンビ。
で監督がハワード・ホークスです。

百科事典の編纂にもう9年もかかりきりの8人の教授たち。
(8人とは、
比較的若くてカッコイイ一人、ポッツ(ゲーリー・クーパー)と、
7人の老教授たち、です。)
ポッツは言語学が専門らしく、
俗語の収集に街に出て行き、
そこで、オシェイというダンサーと出会い、
調査に協力して欲しいと頼みます。
彼女は、当初まったく興味を示さなかったのですが、
突然、教授たちが共同で暮らす家に現れます。
彼女のカレシはワルで、
彼女も警察から身を隠す必要があり、
教授を利用する気になったのでした。が、
結局、ポッツも7人の教授たちも彼女が好きになってしまい……
というお話。

7人の老教授たちは、
たしかに7人の小人に似ています。
この、子どもと大人を入れ替えるというアイディアは、
おそらく原作の時点からあったのでしょう。
ポッツが王子様で、
オシェイは白雪姫。
そして、オシェイのワルのカレシとその仲間が、
王妃ということになるのでしょう。
ラストもまた、
『白雪姫』の場合に似ています。

『白雪姫』の換骨奪胎だという時点で、
興味を引かれました。
ホークスは、ストーリーの独自性などには興味がなく、
パターンとしての物語の中に、
新しい要素(新人俳優とか)を投げ込むことが多い、
と言われていますが、
たしかに今回は、そんな感じでした。
110分ほどあるので、
当時としては比較的長めだと思いますが、
飽きるところはなかったです。
ホークスの、職人的な腕が冴えたと言えるのでしょう。

2022年4月17日日曜日

『犬ヶ島』

先日、ウェス・アンダーソン監督のコレを見ました。


で、今日は、
前から気になっていたこの監督のアニメ映画、

『犬ヶ島』(2018)

を見てみました。


コバヤシ市長が、
それまで人間の友だった犬を、
増えすぎたからという理由で、
ある島に集めて抹殺しようと計画します。
そしてそのために、
自ら作った病原菌を、
犬ヶ増えたせいだと声高に訴えることまでします。
が、この市長の息子が、
連れ去られた愛犬を探しにその島に向かい……というお話です。

まあ、見始めてすぐ、
「犬」は移民、あるいはマイノリティの比喩だと分かります。
公開が2018年なので、
コバヤシ市長はトランプか、と言われたようです。
そう見えますね。

おもしろくなくはなかったんですが、
基本的にアニメが不得意なので、
そこまで入り込めませんでした。
もちろん、よく作ったなあ、とは思うんですが、
やっぱり、
実写のほうが好きみたいです。

2022年4月15日金曜日

《不肖・宮嶋が見たウクライナの真実》

https://bunshun.jp/articles/-/53510?fbclid=IwAR2B6N5oKnemGtOqquhP1TxNX4YsFaw_aeJ8iy0FRzo7_Zz-APTvU-PMiJk

このところ、
読むのが辛いニュースが多くて、
ほんとうに、人間というもののどうしようもなさに、
胸が塞がります。
善意とか、やさしさとか、勇気とか、知性とか、
そうしたものをまとめて焼き払いような蛮行。

いやそれでもやっぱり、
善意や、やさしさや、勇気や、知性を、
信じなければと思います。

『ザ・トリップ』

ノルウェー映画の

『ザ・トリップ』(2021)

を見てみました。
動機は、主演のノエミ・ラパス見たさです。
大人向けのブラック・コメディーです。
スプラッターでもあります。


中年夫婦。
夫は大きな借金を抱えたしがない映画監督、
妻は売れない女優。
この二人が旅に出るのですが、
じつは二人とも、この旅行中に相手を殺そうと思っています。
が、実は、二人が出かけた山小屋の屋根裏には、
三人の脱獄囚が隠れていて……というお話。

夫婦の問題は、
わりと「ふつう」で、
もしかしてラストは「ヒューマン」じゃないでしょうね?
と思いながら見ていました。
ノオミ・ラパスは、
乱闘シーンでもさすがの身のこなしで、
なかなかいい感じ。
ストーリーもバカげているところもあるんですが、
作り物としての楽しさもあります。
ちょっと評価は難しいんですが、
ノオミ・ラパスが好きなら、
楽しめると思います。

『サラブレッド』/『ニュー・ミュータント』

アニャ・テイラー=ジョイの出演作を2本、
見てみました。

『サラブレッド』            (2017)
『ニュー・ミュータント』(2020)

『サラブレッド』のほうは、
若い女性二人が共謀し、
その一方の継父を殺そうとする物語ですが、
これは、おもしろくありませんでした。
全体に間延びしているし、
スリルも緊張もない。

『ニュー・ミュータント』のほうは、
マーヴェルの作品で、
なんというか、X-MEN の傍流、という感じ。


特殊な能力を持ったミュータントの少年少女が集められ、
実質監禁されています。
彼らを保護し、「治療」する、というのですが、
実際は、彼らを利用しようとしている集団がいるのです。
こちらは、マーヴェルなので、
まあ65点くらいは入っているかな。
実はこれ、
「あまりおもしろくない」と院生から聞いていたので、
全然期待していなかったのが良かったのでしょう、
とりあえず最後までふつうに見られました。

アニャ・テイラー=ジョイは、
『クイーンズ・ギャンビット』には遠く及ばない印象でした。
(ミュータント役は、合ってると思いますが。)

2022年4月14日木曜日

『クイーンズ・ギャンビット』

ネトフリのミニ・シリーズ、

『クイーンズ・ギャンビット』(2020)

を見てみました
全7話です。


数学者である母親が荒れた生活ののちに亡くなり、
孤児となったベス。
彼女は孤児院に引き取られますが、
そこで、用務員のおじさんを通して、
チェスと出会います。
そしてこの出会いが、彼女の人生を決定づけることになる、
というお話。

チェスは、子どもの頃少しやりましたが、
取った駒を使える将棋の方に親しみを感じ、
チェストは縁遠くなってしまいました。
(というか、ドラマ内の盤面を見ていて、
ごく序盤でさえ知らない手順で動くので、
今や実質的な知識はゼロです。)
チェスの大会が何度も出てきます。
となるとこれはエンタメの定番で、
実際そういうドラマです。
ベスという人物は魅力がありますが、
深いかと言われると、そうでもないかもしれません。
エンタメとしては、おもしろいと言えると思います。
(原作小説の翻訳もちょっと覗いてみたんですが、
こちらもエンタメの文体に感じられました。)

一番目立つのは、
大人になってからのベスを演じたアニャ・テイラー=ジョイでしょう。
(子ども時代のベスを演じたイスラ・ジョンストンもよかったです。)
今や彼女は、人気女優の仲間入りをしているようですね。
何本か見てみるつもりですが、
どうもホラー系が多いようで、
ちょっと迷います。

『リービング・ラスベガス』

というわけで、
2022年度、授業開始しました。
月、火、水、と、
担当するすべての授業を一回りして、
まあどんな雰囲気か確認できたので、
なんというか、落ち着きました。
すでにそれぞれの授業の「内容」に踏み込んでいますが、
来週からはより「ふつう」の授業になります。
がんばっていきましょう!

で、
水曜に移動した大学院のゼミ、
初回は、

『リービング・ラスベガス』(1995)

を見ました。
院生の一人が、ニコラス・ケイジ特集をしているが、
まだこれは見てないというので、
それなら、となったのでした。
でもなぜ、それなら、なのかというと、
わたしにとってのニコラス・ケイジは、
この映画だからです。


昔見て「いい」と思った映画を見るのは、
少し怖さがあります。
というのも、何本かは、
ぜんぜんおもしろくない!
と感じてしまったことがあるからです。
(『冒険者』がその筆頭。)
でも今回は、杞憂に終わりました。
『リービング・ラスベガス』、
なかなかよかったです。
酒に溺れ、妻子が去り、
職も失った男、ベン。
彼は、飲み続けて死ぬことを願い、
ラスベガスに向かいます。
そこで出会ったのが、娼婦のサラ。
深い孤独を抱え込んだ彼女は、
なぜかベンに心を開かされるのです。

墜ちてゆく物語です。
タナトスが、タナトスとして輝きます。
この墜ちてゆく過程は、もちろん現実には、
もっと悲惨で、もっと過酷で、もっと汚らしいはずです。
それを差し引いても、
墜ちてゆく男も、
それを見届ける女も、
なかなかよかったです。

こういう映画が好きなところは、
変わらないのねえ、と思ったのでした。

2022年4月10日日曜日

『モーリタニアン 黒塗りの記録』

タハール・ラヒムとジョディ・フォスターが共演する、

『モーリタニアン 黒塗りの記録』(2021)

を見てみました。
アマ・プラです。


実話に基づいたストーリーです。
映画の中では、14年ほどの時間が流れますが、
それはつまり、
9.11 以降、あるモーリタニア人、スラヒが拘束され、
悪名高いグアンタナモに収監されてからの時間です。

映画によれば、
このグアンタナモに収監されたのは約790人。
その内、有罪判決を受けたのは8人。
そしてその内3人は、控訴審で無罪になったといいます。
グアンタナモで、
恐るべき拷問が行なわれていたことは広く知られており、
にも関わらずこの有罪数というのは、
いかに収監がムリヤリだったかがはっきりわかります。

物語はシンプルで、
無罪を主張するスラヒと、
起訴さえされないまま収監される違法性を指摘する彼の弁護士と、
スラヒを死刑に追いこむことを命じられた軍付きの法律家、
を中心に進みます。
演技達者な俳優が集まり、
演出も素直でよどみがなく、
2時間越えますがすんなりと見られます。
(といっても、拷問シーンはもちろん過酷ですが。)

一箇所、おもしろかったのは、
スラヒが別の収容者と、
シート越しに言葉を交わす場面。
最初ふたりは、アラビア語で話し始めるのですが、
相手がフランス語をしゃべると、
そのままフランス語での会話に。
相手のフランス語はパリのものではないと思っていると、
マルセイユ出身だと。
で彼は、マルセイユ、という名前になり、
彼の存在が一つの伏線になってゆくのです。
字幕ではわかりにくいですが、
どんな言語を使っているのかは、
いつでも重要ですね。

2022年4月9日土曜日

雑種

『ブライト』は浅かった、
『ホワイト・ティース』はよかった、
と書きましたが、その1つの例証を。

『ホワイト・ティース』はとても長い小説なんですが、
その中で、若いジャマイカ系イギリス人女性が、
もう、移民としての過去、
そこから来るアイデンティティーなんてめんどくさい、
どんどん混じり合っていけば、
そんなのなくなるのに、
と思う場面があります。
(もちろん、そう思わない人物たちも登場します。)
この感じは、
直接『戦争より愛のカンケイ』の中で示された考え、
雑種が増えれば世界は平和になる、
に繋がるのでしょう。
あるいは、ストロマエの Bâtard にも。


これに対して、
『ブライト』に登場したオーク(族)のジャコビーは、
オークとしては「雑種」だったのですが、
手柄を立てたため、
オークの「純血種」に「昇格」するのです。
これは、まったく分かってないと言わざるを得ないでしょう、
特に、移民社会の比喩に見える映画内においては。
「純血種」なんて、存在しないのですから。
そんな幻想が、むだな争いを生みもしてきたのですから。
ここが、『ブライト』の一番の弱点なんかないでしょうか?

映画って、ほんとに脚本が大事ですね。

2022年4月8日金曜日

『ブライト』

ノオミ・ラパス見たさで見てみたのが、

『ブライト』(2017)

です。
結論から言えば、駄作でした。


舞台は近未来の(?)ロサンジェルス。
そこでは、人類だけでなく、
エルフ、オーク、ドワーフなどという「族」も共生しています。
そして、大昔に閉じ込められた「ダーク・ロード」
(「ロード」は「神」のほう)
を、再び解き放とうとするグループと、
それを阻止しようとするグループの戦いを描いています。
中心にいるのは、
ウォード(人間・ウイル・スミス)とジャコビー(オーク)のコンビ。
後者は、オークで最初の警官です。
この、異族間の関係の変化も、
一つのストーリー・ラインにはなっています。

こうした設定なら、
誰が見ても、現代における多民族空間の比喩なのだろう、
とは予想できるし、
実際そういう点も少しはあるのですが、
まあ言ってしまえば、考えが浅い。
というか、その点についてほとんど考えてないように感じます。
「ダーク・ロード」云々も、
なんだかよくわからないし。

ノオミ・ラパスは……
アクションなど、悪くはないんですが、
まあ、映画自体のレベルが……

2022年4月7日木曜日

"plateau de tournage"

ブチャの悲劇については、
何度か書きかけて、書き終えられませんでした。
無念さや、怒りや、どうしようもなさの、
持って行き場がないからです。
もちろん、
感情的になってばかりでもダメなんでしょうが、
日本にいて、
できることはきわめて限られていて……。
日本のニュースでは流れなくても、
ブチャの街の様子は、簡単に見られます。
胸ふさがる思いです。

(そして、若いロシア兵たちの遺体もあるのです。
チェルノブイリでは、被爆したロシア兵たちも。)

フランスのロシア大使は、
このブチャの惨状について、

plateau de tournage (撮影現場、映画セット)

だと発言しました。
外務大臣は、彼を呼び出すとしています。


まあ、呼び出してどうなるものでもないにしても、
放置するわけにもいきません。

最近のニュースは、
「兵器」や「軍事」に関するものが増えた気がします。
環境問題も、格差問題も、人権問題も、
人類は多くの問題を抱えているのに、
こんな、20世紀へ、19世紀へ回帰するような趨勢は、
とても残念……

『THE GUILTY/ギルティ』

今回もまた、
ザッピング中に見た予告に惹かれてそのまま見たのが、

『THE GUILTY /ギルティ』

なんですが、
実はこれ、原作のデンマーク版(2018)と、
リメイクのアメリカ版(2021)があります。
両方見てみました。



まず、原作とリメイク、大きな違いはありません。
セリフも、固有名詞が変わるくらいで、
ほとんどそのままです。
(リメイクの方には、
主人公と元妻、そして幼い娘の存在が追加されています。
これは、メイン・ストーリーに対する主人公のコミットと結びつけられていて、
悪くない追加だと思いました。が、
決して大きな変更ではありません。)
強いていえば、
リメイクでは、ジェイク・ジレンホールの演技が見所となっている、
とは言えるかもしれません。
(知らなかったんですが、
彼はスウェーデン系なんですね。)

映画は、ある種の密室劇で、
物語のすべては(110のような)緊急電話受付センターの、
それも一人の中年男性(主人公)のデスクで起こります。
つまり、その電話の向こうでは、
大きな事件が起こっているのですが、
それは一切映し出されることはなく、
電話を通した会話だけで成立しているドラマなのです。
そしてその事件とは、
前科のある男性が、元妻を拉致し、
しかも、幼い子どもたちは置き去りにされ、
どうも様子がおかしい……というものです。

密室劇というのは、
もうどうしようもなく息苦しいものです。
しかも、電話の向こうでは拉致事件が起きています。
息をつけるところはまったくなくて、
半分くらいのところで休憩を入れざるを得ませんでした。
基本的には、苦手なタイプの映画です。
たしかに、これが作品としてよくできていることは、
認めないわけにはいかないでしょう。
「へび」という象徴もとても効いています。
緊迫感も十分あります。
ただ……
冷静なって、あえて厳しく考えると、
大事なところでもう一歩踏み込めていない感も、
ないわけじゃありません。
メイン・ストーリーの二重性も、
それほど深いものでもないし。
つまり……
技巧的には抜群に優れているけれども、
テーマの質、その掘り下げの深さは、
もうちょっといけたかも、
という感じです。

3e dose

昨日の夕方、
やっと3回目のワクチン接種を受けてきました。
(ファイザー×3 です。
3回目をモデルナにした知り合いが二人、
すご~く副作用だった、と脅かすので、
すい日和ってファイザーが打てるまで待っていたのでした。)

で、昨日の夜中、
打った左肩が痛くて目が覚めました。
今までで一番痛い感じでした。
で、今日は1日肩が痛くて、
なんとなく元気も出なかったのですが、
夕方になり、
つまり接種から24時間ほど経つと、
肩の痛みもだいぶ和らいできました。
この調子なら、明日はもう大丈夫かな?

そして……

授業は月曜から。あと5日!
そろそろ具体的に準備しないと!